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【読書感想文】時間と愛をテーマにした、四つの涙と笑顔の物語『コーヒーが冷めないうちに』

不思議な喫茶店を舞台に、過去への時間旅行を通じて人々の心の機微を描いた4つの物語。2018年には、有村架純さん主演の映画にもなったので、ご覧になった人も多いのではないでしょうか。

さて本書に登場する喫茶店には、ある特定の席に座ると望んだ時間に戻れるという不思議な秘密があります。しかし、過去に滞在できるのはコーヒーが冷めるまでの短い時間だけ。この制約の中で、もう一度あの日に戻りたいと願う登場人物たちが、大切な人との関係を見つめ直していくというのがこの物語のあらすじです。喫茶店のルールに従って過去に戻った彼らは、果たしてどんな出会いや別れを経験するのでしょうか。

この本の主要なテーマは、「時間」と「愛」です。喫茶店の不思議な設定は、あくまで登場人物たちの心情や対話を引き立てるためのものであり、タイムトラベルの仕組みや謎にはあまり触れられません。それよりも重要なのは、過去に戻った人々が何を伝えたいか、何を受け入れるかということです。

私は本書を読んで、時間は残酷であり過去は変えられないということを、痛感させられました。しかし、時間は同時に美しいものでもあり、過去に戻ってもう一度大切な人と向き合うことで、心の傷が癒されたり、新しい気づきが得られたりすることもあります。愛する人との別れは辛いものですが、愛する人との思い出は消えることがありません。本書には、愛する人に伝えたい言葉や感謝の気持ちを忘れないことが大切だというメッセージが込められています。

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