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【読書感想文】記憶が具現化する海の謎『ソラリス』

意識を持った惑星と人類の初めての接触を描いた、ファーストコンタクトSF。惑星ソラリスの表面を覆う意思を持った海に関する謎を探るため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンが、変わり果てた研究員たちと出会う物語です。この作品は、人間以外の知性との接触の可能性を深く掘り下げた SF 史上の名作として高く評価されています。

このように、本書は人間と異質な知性との接触をテーマにしていますが、単なるSF的な設定にとどまらず、人間の心理や倫理といった深い問題にも踏み込んでいます。ケルヴィンが自身の過去と向き合い、ソラリスの海が引き起こす現象に翻弄される様子は、まさに人間の内面を描いた傑作と言えるでしょう。

私は本書を読んで、ケルヴィンが惑星ソラリスの不可解な現象に直面し、自身の心理状態にも揺さぶりをかけられていく様子が、緊迫感と共に丁寧に描かれているのに圧倒されました。ソラリスの海が持つ不可思議な性質は、ますで人間の知性の限界を示唆しているように思えたのです。

『ソラリス』は、SFというジャンルを超えて、人間とは何か、知性とは何かという普遍的な問いを投げかける一冊です。本作を読むことで、未知なる存在との対話の可能性を考えるきっかけにもなりそうですね。

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