見出し画像

【読書感想文】炭焼き百姓たちの絆と奇跡の出会い『三人の百姓』

北国の山奥で暮らす伊作、多助、太郎右衛門という3人の百姓の物語です。彼らは田んぼを耕し、炭を焼いて城下へ売りに行く、そんな質素な日々を送っています。決して楽な暮らしではありませんが、3人はいつも笑顔を絶やしません。

ある日、彼らは道端で捨てられた赤ん坊を見つけます。太郎右衛門は迷わず赤ん坊を家に連れて帰り、夫婦で育てることを決意します。しかし、赤ん坊の服から不思議な手紙が見つかり、彼らの暮らしは一変します。

この物語の見どころは、何と言っても登場人物たちの心の温かさです。特に、太郎右衛門の優しさや、3人の深い友情は読者の心を打ちます。赤ん坊を育てる決意をした太郎右衛門の葛藤や喜びは、私たちに家族の大切さを教えてくれます。また、伊作や多助とのユーモアあふれるやり取りは、ほのぼのとした温かい気持ちにさせてくれます。

この本を読んで私が感じたのは、家族や仲間との絆の大切さです。3人が赤ん坊を育てる姿は、現代社会を生きる私たちにも、何か大切なことを教えてくれるように思います。特に、太郎右衛門が初めて赤ん坊を抱いた時の戸惑いや、夫婦で育児に奮闘する姿は、とても感動的でした。

『三人の百姓』は、素朴な言葉で綴られた温かい物語です。秋田雨雀の優しい語り口は、読者の心にじんわりと染み渡ります。家族の愛、友情、そして生きる喜び――この物語には、私たちが忘れてしまいがちな大切なものが詰まっています。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?