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【読書感想文】多様な知性体との共存を描く傑作SF『遠き神々の炎(上)』

遠い未来、銀河には様々な種族が作り上げた情報ネットワークが広がっていました。そんな銀河のある星で、人類は古代のアーカイブを発見します。アーカイブから目覚めたのは、銀河中に恐怖と混乱をもたらす想像を超えた強大な意識体だったのです。

人類は、最後の希望を宇宙船に託して緑の星に不時着します。しかし乗組員のほとんどは命を落とし、生き残ったのは子供たちだけでした。そして彼らは原住民である不思議な犬のような生き物たちの争いに巻き込まれてしまいます。銀河世界は子供たちを救うため、人類とエイリアンが乗り込んだ船を送り出すのですが…。

遠い未来の銀河を舞台にした本書のテーマは「多様な知性体との共存」です。人類、エイリアン、そして原住民の犬のような生き物たち、それぞれが独自の知性と文化を持っています。これらの異なる知性体が出会い、時に対立し、時に協力する様子が描かれているからです。

見どころは、何と言っても緻密に作り込まれた未来の銀河世界の設定でしょう。例えば、銀河規模の情報ネットワークや、異星の生態系など、細部まで考え抜かれた設定に何度もうならされました。

そして私は本書を読んで、SF小説の持つ可能性の大きさを改めて感じました。壮大なスケールの物語でありながら、登場人物たちの感情や葛藤も丁寧に描かれています。特に、見知らぬ星に取り残された子供たちの不安や勇気には胸を打たれますし、また、人類以外の知的生命体との出会いや交流を通じて、「知性」や「文明」の定義についても考えさせられました。

スリリングな展開と深い思索を併せ持つ本書は、SF好きはもちろん、壮大な冒険物語や異文化交流に興味がある人にもおすすめの一冊です。

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