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【読書感想文】ちいさいおうちが見た過ぎゆく時間と変わらないもの『ちいさいおうち』

「ちいさいおうち」という絵本なんだけど、もう本当に心が揺さぶられてしまって。

静かな丘の上にある小さな家。そこは、まるで時間がゆっくりと流れているような、そんな温かい場所。春には桜が満開になり、夏には緑が目にしみるほど鮮やかで。秋には紅葉が丘を染め、冬には雪が積もって真っ白な世界に。

その家と、周りの自然が織りなす風景は、本当に美しくて。絵本のページをめくるたびに、私もその世界に引き込まれていきました。
でも、この絵本はただ美しい風景を描いているだけじゃないんです。時代とともに町が発展していく中で、その小さな家は少しずつ変わっていく。昔のように静かで穏やかな日々は、もう戻らないのかもしれない。そんな切なさを感じながらも、新しい生命が生まれ、また別の物語が始まる希望も感じられるんです。

この絵本を読んでいる間、私は子供の頃に過ごした実家の庭を思い出しました。夏にはカブトムシを捕まえに行ったこと、秋には落ち葉の山で遊んだこと。あの頃の記憶が、鮮やかに蘇ってきたんです。でも、今はもうあの家は建て替えられてしまって、庭もなくなっている。そんなことを考えながら、この絵本を読んでいると、なんだか心が温かくなりました。

そんな絵本が描いているのは、何よりも「時間」の残酷さと美しさ。そして、自然と人間の繋がり、そして環境問題についても考えさせられる作品です。美しい自然の中で育まれた思い出、そしてそれらが失われていく悲しみ。でも、同時に、新しい生命が生まれ、新たな物語が紡がれていく希望も感じられます。

この絵本を読んだあなたにも、きっと何か感じるものがあるはずです。

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