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【読書感想文】七花と七実、愛と戦いの狭間で揺れる心『刀語 第七話 悪刀・鐚』

鑢七花は、ついに自身の姉であり、虚刀流の天才剣士である七実と対峙することになりました。血の繋がりと深い愛情、そして剣士としての宿命が複雑に絡み合い、二人の壮絶な戦いが繰り広げられます。七花は、姉への愛情と殺意の間で揺れ動き、苦悩の末に決断を下します。一方、七実は、七花への歪んだ愛情と、虚刀流への執着に苦しみ、悲劇的な最期を迎えます。

この物語のテーマは、血の繋がりと宿命、そして愛の深さです。七花と七実は、血が繋がった姉弟でありながら、全く異なる境遇で育ちました。七花は、父親に認められたいという思いから剣術の道を選び、七実は、虚刀流の天才として周囲から期待されながらも、孤独を抱えていました。二人の関係は、愛情と憎しみ、尊敬と嫉妬が複雑に絡み合い、切ない物語を紡ぎ出しています。

見どころは、七花と七実の心の葛藤です。七花は、姉を殺したいという気持ちと、愛しているという気持ちがせめぎ合い、苦悩します。七実は、七花への愛情と、虚刀流への執着の間で揺れ動き、歪んだ形で七花に近づこうとします。また、七花の成長が感じられる点もポイントです。父親との決別を経て、七花は少しずつ大人になっていき、自分の気持ちに素直に向き合えるようになってきました。しかし、同時に、姉との別れは七花にとって大きな傷となり、彼の心に深い影を落とします。

「刀語」シリーズは、毎回独特の世界観と魅力的なキャラクターで読者を魅了しますが、この第七話も例外ではありません。特に、七花と七実の姉弟関係は、本当に心を揺さぶられました。

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