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【読書感想文】善意が生む奇跡と欲望が導く教訓『竜宮の犬』
日本の昔話の魅力を巧みに取り入れた短編童話。
貧しい老夫婦は、ある日羽根を痛めた鶴を助けます。助けた鶴が人の姿になってお礼にくれた織物ですが、おじいさんはそれを海に捨ててしまいました。数日後、タツノオトシゴに乗った美女が再び現れ、お爺さんを竜宮城へと連れて行きます。美女はなんと竜宮城の乙姫様の使いだったのです。感謝の気持ちを表す乙姫様は、老夫婦に不思議な犬をプレゼント。この犬は、毎日決まった量の小豆を食べさせると、黄金を生み出すというのです!老夫婦は一攫千金を夢見て、犬にどんどん小豆を与えてしまい…。
この物語のテーマは、ズバリ「欲深さが招く悲劇」です。老夫婦は、乙姫様から賜った犬に小豆を食べさせ、黄金は周りの貧しい人々に配っていました。しかし、隣の意地悪ばあさんが「もっとお金が欲しい」という欲に目がくらんでしまい、結果として犬を殺してしまうのです。この物語は、私たちに「物事を大切にする心」や「欲深さの恐ろしさ」を教えてくれます。
この物語の一番の見どころは、なんといっても予想外の展開です。乙姫様の使いだったり、犬が黄金を生み出すなんて、夢のような話ですよね。でも、この物語の面白さは、ただファンタジーなだけじゃありません。老夫婦の心の変化や、周りの人々の反応など、人間模様がリアルに描かれているんです。特に、欲深い隣人が登場する場面は、クスッと笑えるユーモアあふれるシーンです。
この物語を読んだ私は、老夫婦の気持ちに共感しつつ、欲張りばあさんの行動にはハラハラしました。誰しもが一度は「もっとお金があれば…」と思ったことがあるかもしれません。でも、この物語は、お金よりも大切なものがあるということを教えてくれます。それは、感謝の気持ちや、周りの人との繋がりです。
現代社会を生きる私たちにとって、このような心温まる物語に触れることは、とても大切なことだと思います。