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【読書感想文】謎解きの極致!ポアロが挑む、列車内の密室殺人事件!『青列車の秘密』

火の心臓と呼ばれる、疵のない大粒のルビー。名高い宝石の例に漏れず、美しさの裏に血塗られた歴史を持つこのルビーを贈られた女性が、超高級寝台列車ブルートレインの中で非業の死を遂げます。偶然にも探偵として名声を博していたエルキュール・ポアロが同じブルートレインに乗り合わせ、事件の調査を依頼されます。

被害者は大富豪の娘で、夫と別居中でした。彼女は愛人と逃げるためにルビーを持って旅立ったのですが、その愛人もまた怪しい存在でした。一方、夫は別の女性と関係を持っており、彼女もまたルビーに関係する人物でした。さらに、被害者の客室に入るところを目撃された男や遺産相続人など、事件に絡む人々が次々と登場します。ポアロは、夫人の過去や家族の事情、列車に乗っていた他の乗客たちの関係などを調べていきますが、次々と新たな疑惑や謎が浮かび上がります。果たして、真犯人は誰なのでしょうか?

クリスティーの作品は、緻密なトリックや驚きの展開が魅力的ですが、この作品では、それだけでなく、登場人物たちの心理描写や感情的な動機も重要な役割を果たしています。登場人物たちはそれぞれに秘密や欲望を抱えており、彼らの関係性や心理描写が巧みに描かれています。特に、被害者であるルース・ケタリングは、金持ちの娘という立場に縛られながらも自由を求める複雑な感情を持つ女性であり、彼女に感情移入する読者も多いかもしれません。そして、最後に明かされる真相は驚きと感動を与えるものであり、クリスティーらしいトリックや伏線が見事に回収されます。

「青列車の秘密」は、クリスティー自身が気に入っていなかった作品だそうですが、彼女の持つ独創性や洞察力が十分に発揮された作品です。クリスティーのファンはもちろん、これから彼女の作品に触れる人にもおすすめの一冊です。

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