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【読書感想文】命をかけた愛情、姉弟の絆の重さ『山椒大夫』

安寿と厨子王の姉弟が、父親を探す旅の途中で悲劇に見舞われる物語。彼らは山岡太夫によって誘拐され、山椒大夫のもとで奴婢として売られてしまいました。姉の安寿は自らの命を犠牲にして、弟の厨子王を逃します。厨子王はその後、佐渡に渡り、母と感動的な再会を果たすことになります。

本書のテーマは、封建社会の厳しい階級制度と、そこから逃れるための苦闘です。決死の覚悟で自分を犠牲にした安寿、そして、厨子王が直面する試練は、運命に立ち向かう勇気と、逆境を乗り越える強さを感じさせます。

私は本書を読んで、人間の尊厳と自由への渇望、そして家族の絆の強さに深く心を動かされました。作中の登場人物たちは、理不尽な運命に翻弄されながらも、決して希望を失わないません。後に厨子王が丹後の国守となり、母と再会する場面には、思わず涙がこぼれました。

当時の社会構造や階級制度の問題点も浮き彫りにした本作は、これからも多くの人に愛され続けることでしょう。

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