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【読書感想文】山本五十六とアメリカ人士官。戦争が引き裂いた二人の約束と運命『ISOROKU外伝 (Kindle Single)』

日米の海軍軍人の間で交わした友情と、太平洋戦争での悲劇を描く短編小説。主人公は、連合艦隊司令長官となった山本五十六と、アメリカ人宣教師の息子で海軍士官のアーサー・マッカラムです。

東京で知り合った二人は、年齢や国籍を越えた親交を深めます。しかし、1922年のある夜、帝国ホテルでポーカーをしながら、二人の間で後に歴史を変える約束が交わされました。その約束とは何だったのか。二人の運命はどうなったのか。その謎に迫るスリリングな物語が展開されます。

この作品のテーマは、戦争と友情だと思います。山本とマッカラムは、海軍軍人として背負う使命と、友人としての絆との間で葛藤します。彼らは、互いに敵になることを悟りながらも、それを口にしません。戦争が終わった後も、互いに友人として再会することを願いながらも、結局願いは叶えられなかったのです。

本書は山本五十六という実在の人物を主人公にしていますが、彼の人生には多くの謎や伝説があるそうです。例えば、真珠湾攻撃の発案者とされる山本ですが、彼の思惑や動機は今もなお議論の的だそうです。

そんな彼の内面に迫るために、本書では、架空の人物であるマッカラムを登場させました。マッカラムは、山本の友人であり、同時に真珠湾攻撃の被害者です。山本五十六という人物像を鮮やかに描き出した本書は、歴史的事実とフィクションが巧みに融合した傑作でした。

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