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自分で調べて、自分の目で見て考える。今回の兵庫県知事選について。

はじめに

「批判の切り口は無数にある」

自身の経験からも実感していることです。

アンナ・カレーニナ『トルストイ』の一節
「幸福にバリエーションはないが、不幸にはバリエーションがある」

これに沿えば、「褒めるポイントやことばは限られてるけど、批判や悪口はバリエーションがある」となるでしょうか。

濃い関係者でもなく新情報を持っているわけでもないけど、いち兵庫県民として、のちに何度も振り返られるかもかもしれない今回の選挙や一連の騒動を考えるために自分なりに調べ、整理した足跡を残しておこうと思います。

(スルーするのも、後付けで何か言うのも違う気がして)


(反省を込めて)大事だと思ったポイント

恥ずかしながら、県知事選、あるいは政治にここまで興味を持ったことはありませんでした。

春以降の斎藤元知事についての報道は、ネットニュースにしてもマスコミの発信情報を主に見ていて、斎藤知事のことは「ハラスメント体質の若干サイコパスな人物。なぜか知事の椅子にしがみついて辞めない」くらいに思っていました。

最初に言うけど、ごめんなさい。悪く思いすぎたり、言いすぎたりしてました。

まだ真相解明の途上ですが、但陽信用金庫の桑田理事長が優勝パレードのキックバック疑惑を否定したあたりが自分的には決定打となり(マスコミでは全然報道されないけど)、ようやく点と点が線になった感覚があります。

政局の専門家でも記者でもホワイトハッカーでもないし、日々状況も変わるので詳細は他に譲りますが、参考まで今回の気づきを書き出してみようと思います。


1.語られることには、嘘と真実が混じり合っている(可能性が高い)

いわゆる陰謀論も、多くの場合ホントとウソ(あるいはすぐに検証できないこと)がブレンドされている。

配分はケースバイケース。

例)
コロナワクチンの安全性は十分に検証されていない=真実
コロナワクチンを打つと、遺伝子が組み替えられる→誰か説明お願いします

斎藤知事に関する批判も決して100%的外れではないだろうし、擁護派が見落としている点もあるはず。

「強い指示」なのか「パワハラ」なのか

「改革」なのか「先人のメンツをつぶす行為」か。

見る人の立場や視点によっても変わってくることもある。反対の立場からも考えてみると、膝を打つ瞬間がある。


2.一次情報にあたろう。(メディアの報道だけを見て判断しない)

※特に重要※ 元県民局長(当時匿名)による3/12の文書を読む

「文書問題」が今回の騒動の起点であり、メディアや県議会による追及のよりどころだとすれば、その文書自体の「質」がまずは問われるべきでしょう。

■百条委員会の目的(調査事項)

1 調査事項
令和6年3月12日付け元県民局長の文書に記載されている7項目の内容の真偽に関連する事項

文書問題調査特別委員会(百条委員会) 2024年6月27日資料より

■3/12の文書の内容を含む資料↓
文書問題調査特別委員会(百条委員会)議事録  2024年7月19日

実名は伏せてありますが、問題になっている文書の各事項に対する質問へのご本人の陳述が記録されています。

故人への指摘は一方的になるのでためらわれるところもありますが、告発する側、される側双方の職業生命を賭ける覚悟を持って告発したのならあり得ないような、重要なポイントの根拠が乏しい印象が拭えません。

「齋藤知事、その命を受けた片山副知事が何の配慮もなく行った五百旗頭先生への仕打ちが日本学術界の至宝である先生の命を縮めたことは明白です。」の部分は憶測です。

文書問題調査特別委員会(百条委員会) 2024年7月19日資料より

もちろん読んでどう感じるかは人それぞれだと思います。ただ、事実として、百条委員会で検証を重ねたものの7項目の証拠が十分に認められず(7月20日に、県の公益通報を所管する財務部による調査結果が出ていたという情報もありますがソース未確認)、当初の調査事項から知事の資質を問う内容に移行していったのは周知のとおり。

できるだけ中立的にものごとを見ようとするならば、現時点ですでに「文書問題」はその根底が不確かであり、主要な議論テーマとすべきではないと考えます。

4月に県の公益通報窓口が受理した内容は秘匿されており知ることができませんが、その後も吟味検証されている3/12の文書とほぼ同内容だとすれば、そもそも公益通報文書とみなすことには無理があるでしょう。(次項参照)


公益通報者保護法の条文を読む

全文を読むのはちょっと大変ですが、前提として次のような定めがあります。

(定義)
第二条この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者<以下略>

公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)より 強調筆者

たとえば、小池百合子東京知事の元側近・小島敏郎氏による、小池氏の経歴詐称疑惑の告発などと比べて、どうか。今回は匿名です。

「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的」である時点で、「公益通報」とはならない。

当然といえば当然だけど、 「通報」がすべて保護されるわけではない、という点には留意する必要があります。ライバル組織に人材を送り込んで「告発」をさせれば、いとも簡単に深刻なダメージを与えることができてしまいますもんね。それではクーデター天国です。今回の結果次第ではありますが、どちらかというと政治よりも経営の世界への影響を危惧しています。

法令の内容→公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)


本人の声を聴く(原稿のある演説でなく平場の会話)

ネット上ではおなじみ、候補者7名全員集合の討論会。

尺の長さに圧倒されてしまうかもしれないけど、前半は音声トラブルもあり、各候補の主張がメイン。1時間5分あたりからの論戦が見ものです。

(高橋さん、ありがとうございます。テレ東の『Re:Hack』時代から応援しています)


(流出した)音声データ

片山副知事が本物だと認めた10/25の件が広く拡散されていますね。委員長が発言を制止するあれです。X(旧ツイッター)で検索してみてください。

↓この記事の中でも触れられていますね


3.登場人物全員に正義がある。

情報をたどっていくと、どうしても対立構造のような整理になってしまうのだけど、知事、県職員、県会議員、メディア記者・・・それぞれに家族もいて、守るべきものもある。仮に落ち度や失策があったとしても、罪を憎んで人を憎まず。それぞれの仕事へのリスペクトは忘れないようにしたいと思います。


終わりに

具体的なことをもっと書こうかと思ったけど、それは僕の仕事ではないし、中途半端な情報になってしまいそうです。(知らないことのほうが多いし)

検索→吟味→テレビとか新聞見る→検索→吟味→仮説→検証・・・

各種情報ソースやいろんな人の視点・意見も参考にして、粘土細工のように、きょうも自分なりに考えを少しずつ練っている最中です。


たしかにネットの情報は玉石混交でデマもあるけど、あれだけ注目して取り上げていたワイドショーもこの話題をスルーするようになり、記者クラブによる報道自粛?も明るみになっている中で、もはやマスコミから重要情報が得られない(但陽理事長の件など)という、ちょっと不思議な状況になっています。

”文書問題”や百条委員会の問題などで入り組んで見えるけど、本質的には、今回の知事選はシンプルに

「重鎮への忖度や根回しなく性急に改革を進める、不器用な仕事人・斎藤氏に引き続き託す」か否か

が問われている選挙ではないでしょうか。

一例ですが今回紹介したような客観的事実を把握した上でも「やっぱり斎藤は気に食わない」「若いのに偉そうだ」「挨拶が足らない」など、批判の切り口は無数にあると思います。

(「知事のパワハラにより元県民局長が亡くなった」という論理的に説明のつかない理由で非難するよりも、そんな風に感情むき出しで言われたほうがよっぽど説得力があります)

ただ、改革を進める人が衝突を生むことがあっても、一切の衝突を避ける人が改革を進めることはできないのではないか、とも思います。

※個人的には、割れているにしてもなぜ自民党が政治信条の面で稲村氏を候補に立てたのかが今ひとつ分からないままです。(氏の時系列プロフィールはwiki参照)

そう考えると、「現状からの改革を望むのかどうか」が今回のテーマでもあり、いろんな意味でリトマス紙となる選挙かもしれません。

斎藤氏を選ぶリスクもあるし、稲村氏はじめ諸氏を選ぶリスクもある。もちろん手放しで合格ということは無いだろうけど、できれば消去法や党派の論理ではなく、候補者全員をまっすぐに見て、「この人が導く未来を見たい」と思えるかどうかという基準でフラットに票が投じられる選挙になってほしいなと思います。

<参考>日々更新されていて圧倒されます。ウィキペディアンに敬意を。
兵庫県庁内部告発文書問題|Wikipedia

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