空間と家具と人との関係性を環境からも人間工学的にも心地よく過ごす為の設計の付加価値とインテリアと融合する間取り提案を考えています
家具と暮らしの時間、
座っているのに
疲れるという
過ごし方にならないように。
何故、
座っていても疲れるのか?。
食事、仕事、歓談、
余暇の時間。
私たちは椅子に座って
様々なことを行い、
多くの時間を過ごしています。
座るという行為は
自重を何かに預けている
という状態であり、
立っているよりも
身体的な負担が
軽減されているという状態です。
それにも関わらず、
長時間着座していると
疲れを感じる、
という人は少なくありません。
それはなぜか?。
立っているより
座っている方が
楽なのはなぜか?。
まず
立っているよりも
座っている方が楽と感じる、
あるいは
実際そうであるという
理由を考えてみます。
筋肉の活動率の違い。
通常人間は
直立状態を維持するには
骨(靭帯)だけでは難しく、
「抗重力筋」という筋肉が
活動すること
そして身体のバランスを
保っています。
端的に言えば、
重力に対抗して
正しく安定した姿勢を
維持しているという事です。
座っている状態は
抗重力筋の活動が
抑えられている状態ですから、
立っている状態と比べて
エネルギー消費が低い(状態)
と言えます。
体内のエネルギーを
消費すると
乳酸と呼ばれる
疲労物質が生成されます。
これが疲れの原因の1つです。
よく“乳酸が溜まる”と言われるものです。
座っている場合は
筋肉の活動量が少ないので
疲労が溜まりにくい、
すなわち楽な状態だと
考えることができます。
もう1点
交感神経と副交感神経の作用
という観点でも
違いは明白です。
立っている時は
交感神経が
優位な状態とされます。
エネルギー代謝量が
多いことに加えて
各種神経も
興奮している状態です。
つまり体内のエネルギーを
より使うこと、
つまり疲労に繋がります。
一方で座っている場合は
副交感神経が
優位な状態です。
穏やかな安静状態に
身体をコントロールします。
この2点から
立っているよりも
座っている方が楽だと
結論づけることができるのです。
では楽な姿勢をとっているのに
何故疲れてしまうのか?。
あるいは腰や肩に痛み
疲れを感じる事になるのか?。
それには以下のような
理由が考えられます。
まず背中の
S字ラインの崩れが
考えられます。
人の背骨は
S字型にカーブした
形状です。
正しい姿勢だと
背骨のS字のカーブが
しっかりと保たれ、
その姿勢を保つことで
疲労感が抑えられます。
しかし、
実際には椅子に座り
パソコン作業などを行うと
頭が前傾し
背骨のS字のカーブが
崩れてしまいます。
つまり
背中が丸まっている
状態です。
皆さんもデスクワーク時に
そのような状態を体験していませんか?
段々と姿勢が崩れてきたり
肘をついてアゴを支えたり。
その状態をしばらく続けていると、
背中や肩の筋肉の張りや
内蔵の圧迫に繋がります。
また、
前傾姿勢は
腰や椎間板への負担も
大きくなります。
S字型のカーブ=理想的な姿勢をサポート
それが出来ない椅子に座ることが
着座時の疲れの
原因になってしまうという事です。
あるいは椅子のサイズや
テーブル・デスクとの
高さのバランスが
自身の体型に合っていない
という可能性があります。
特に椅子の座面高に関しては
体圧分散を
効率よく行う意味でも
足裏がしっかりと
床に着くような調整が必要。
その上で
テーブルの高さなども
椅子の座面高に合わせて
適切でないと
姿勢の歪みに繋がり、
疲れやすくなるんです。
疲れにくい椅子の条件とは?。
では所謂「疲れにくい椅子」とは
どのようなものを
指すのか?。
それは
背骨のS字カーブを
サポートしてくれて
体圧分散性に優れ
自身の体型に
合っているものです。
椅子に座った際
自然と腰回りに
椅子の背板が
フィットしてくれる椅子が
良いかと思います。
また、
腰が当たる部分の面積が
広い椅子がお薦めです。
デザイン性が高くても
細いアームや背板の椅子は、
身体に当たる部分が
狭いため
長時間の座面サポートには
向いていません。
人は長く座っていると
どうしても体を左右に動かし、
可動させながら
楽な体勢を整えます。
その際、
腰回りは
可動させる程の
サポートの幅が無ければ
自然と体を動かすことが
できません。
フィット感が高いと
共に適度な
可動幅があることで
疲れが出にくい
椅子となります。
次に体圧分散とは
その名のとおり、
身体に掛かる圧力(=体圧)を
一か所ではなく
できるだけ複数の箇所や
広い部分に散らして
身体の負担を
和らげることを言います。
私たち人間の身体には
必ず曲線があり、
凸凹(でこぼこ)が存在します。
例えば平らな床に
仰向けに寝転んだ場合、
身体の中でも出っ張った
臀部・後頭部・肩甲骨など
床に触れる部分には
体圧がかかりやすくなります。
接地面に触れる面積を
多くすることは、
通常では接地しないような
身体のへこんでいる部分も
支えることができるので、
身体全体の負担を
減らすことが出来る
という事です。
家具のデザインにも
人間の体型を考えた曲線は
美しさを持って
座り心地の究極を表現しています。
実際に家具ショールーム等では
体感を味わいながら
心地良さを試すことが大切です。
同時に足裏が
床にしっかり設置する事も
この体圧分散においては
重要です。
僕がいつも
間取りを考える際に
住まい手さんを
家具ショールームへ
ご案内させていただくのは
空間との構成や
相性も大切にしつつ
椅子とテーブルの
バランスや心身との
心地の具合を
イメージする為。
椅子に座っていて
疲れを感じる仕組みと
それを防ぐための
椅子の選び方について。
椅子を選ぶような時には
いくつもの候補から
「これが良い」と
選定する時間も
丁寧に考えています。
暮らしと間取りと
インテリアから考える心地に
健康な暮らしという
観点からも
「椅子」の事も
暮らしと共に
イメージできるようにと思います。
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