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副業は本業にいい影響を与えるのか
こんにちは。今回は「副業などの社外活動が本業に与える影響」について解説します。
副業OK、キャリア自立のために副業推奨、という企業も増えてきていますが、社外活動は本業にどのような影響を与えるのか、ジョブ・クラフティングの視点から検証した研究を紹介します。
今日の一言サマリ
社外活動の理由が本業不満か成長意欲かを見極めるべし
参考にした論文
石山恒貴、2018、「副業を含む社外活動とジョブ・クラフティングの関係性: 本業に対する人材育成の効果の検討」、労働政策研究・研修機構、60(691特別号)82-92
社外活動の種類と目的
石山は、社外活動を副業、ボランティア活動、プロボノ活動、趣味やサークル活動、地域のコミュニティの活動、勉強会・ハッカソン、自社の業務外の活動、異業種交流会の8種類に分類しました。(そのうちプロボノ活動は経験者数が少ないため考察なし)
社外活動の目的や性質としては、本業不満とキャリア探索、活動での成長の期待、社会貢献、副収入、新しいスキルと試行錯誤、相互作用(社外活動の進め方に影響を与えていく)、人脈の拡大の7種類に分類しました。
本業への影響は、「自発的に仕事の改善に取り組む行動」としてジョブ・クラフティングの発現を確認することで計測しました。
本業に影響のある社外活動は?
分析の結果、ジョブ・クラフティングが増える社外活動としてはボランティア活動、地域のコミュニティの活動、異業種交流会が統計的有意となりました。
本研究の結果からは、これら3種類の活動は本業にポジティブな影響を与えると言えます。
活動ごとに違うその目的
目的と活動種類の組み合わせを見ていくとさらに興味深い傾向が見えてきます。社外活動の目的と活動の関連に、一定の傾向が見られたのです。
副業は「本業不満とキャリアの探索」と「副収入」と関連性が高いが、「新しいスキルと試行錯誤」と「相互作用」との関連は顕著ではなく、「人脈の拡大」については副業をしていない群に比べて目立って低いことが分かりました。
ボランティア活動や地域のコミュニティの活動では「社会貢献」「相互作用」「人脈の拡大」といった項目と強い関連を示しました。
勉強会・ハッカソンと異業種交流会では、「本業不満とキャリア探索」とともに「新しいスキルと試行錯誤」との関連も高いという特徴があります。
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活動目的の本業への影響
活動目的と本業(ジョブ・クラフティング)との関連を見てみると、「活動での成長の期待」「相互作用」「新しいスキルと試行錯誤」を志向して社外活動に取り組んでいる人は、本業でのジョブ・クラフティングにも取り組んでいる傾向が見られました。
反対に、「本業不満とキャリア探索」を目的とした社外活動に取り組んでいることと、本業でのジョブ・クラフティングは強い負の関係がありました。
社外活動に成長のために取り組んでいるか、本業への不満から取り組んでいるかが、本業への姿勢に表れることが分析結果から示されたことになります。
実践への示唆
ビジネスの現場では、今回の知見をどのように活用できるでしょうか。
マネージャーは部下の社外活動に対して、成長との関連づけができれば、本業との相乗効果を生み出すことができるでしょう。本業に不満があるのかを日頃の会話から把握しておくべきであることは言うまでもありません。
社外活動に取り組む社員本人としては、自身が社外活動に取り組む理由を整理し、目的にあった活動内容を選択することが重要でしょう。
そして活動中もその目的から活動内容がそれていないかを定期的に確認することで、有意義で充実した社外活動が経験できますし、本業との相乗効果を生むこともできるでしょう。
社外活動に取り組むことが、あなたのキャリア目標に近づく有効な選択肢となることを願っています。