来春から「経営者保証」が不要になるかもしれません
こんにちわ、久しぶりになりました
ランチェスター戦略社長塾 山口です。
2023年4月から「経営者保証」が不要となる企業が
増える可能性が高まりました。
「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等の改正案の公表について:金融庁 (fsa.go.jp)
今月1日に金融庁から上記の報道資料が公開され、なかなか
画期的な改正案となっています。
それでは今回は「経営者保証(個人保証)」の現状と改正案の
中身を見て行きましょう。
1.個人保証を求める時、金融機関は説明義務がある
金融機関が経営者に個人保証を求める際、現行では
「必要に応じ、保証人から説明を受けた旨の確認を行うこととしているか」
と、確認のみを行えばいいことになっています。
しかし、改正案では「保証人に説明した旨を確認し、その結果等を
書面または電子的方法で記録することとしているか」というように
確認した内容を記録し、金融庁に報告することになっています。
これは金融機関にとっては個人保証を徴求する際の手続きが
煩雑化することを意味します。
2.個人保証を徴求する際の理由の説明
現在は「経営者等と保証契約を交わす際には”経営者保証に関する
ガイドライン”に基づき、以下の点について主債務者と保証人に
対して丁寧かつ具体的に説明こととしているか」と、金融機関は
「保証契約の必要性」についての説明だけをすればよいと
なっています。
これに対して改正案では「どの部分が十分ではないために保証契約が
必要となるのか、個別具体の内容」と「どのような改善を図れば
保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容」に
ついての説明が必要になっています。
「経営者保証に関するガイドライン」の内容を満たしているにも
かかわらず、金融機関が経営者に個人保証を徴求するには、
保証人が納得できる「合理的かつ具体的な説明」をしなければ
ならなくなるということです。
金融機関はその説明ができなければ経営者から個人保証を徴求
できなくなります。
また「合理的かつ具体的な説明」を行い、個人保証を徴求する場合でも
「どうすれば経営者保証を解除できるのか」について金融機関は
具体的な説明を行わなければならなくなります。
これはつまり、ガイドラインの基準を満たしていれば、企業は
経営者保証の解除を請求できることになります。
3.2011年には「第三者保証」が原則禁止に
金融庁は2011年にも監督指針を改正しており、その際は
経営者以外の保証を求める「第三者保証」を原則禁止にしています。
当然、金融機関による「第三者保証」の徴求は大きく減少しました。
金融庁は金融機関に対して「中小・地域金融機関向けの総合的な
監督指針」に基づいた監督・指導を行っており、対象金融機関は
その内容の遵守が求められます。
もし違反をすると、金融庁から「業務改善」を求められます。
これは金融機関にすればかなりの手間や面倒が発生する、
いい方悪いですが「罰ゲーム」のようなことをするハメになります。
当然、これを回避するために金融庁の意向にそって業務を
進めるわけです。
今回も金融庁の監督指針の変更により当時と同じように大きな変化、
つまり「経営者保証を求められる企業の大幅減少」が起きることが
期待されます。
4.経営者保証に関するガイドライン
2023年4月以降、「経営者保証に関するガイドライン」の要件を
満たしている企業は「経営者保証なし」で融資を受けられる
可能性が高くなるでしょう。
「経営者保証に関するガイドライン」の要件は以下3点です。
①資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が
明確に区分・分離されている
②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で
返済が可能である
③金融機関に対し、適時適切に財務情報が公開されている
中小企業庁のHPには「経営者保証に関するガイドライン」を
はじめ、「経営者保証」について解説したページがあります。
ご参考ください。
中小企業庁:経営者保証のガイドライン (meti.go.jp)
今後、実際に「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」が
改正になると、経営者保証を外しやすくなります。
ただ、事業者さんが自分でその手続きなどを進めるのは
手探りな部分が多く、実務的にもなかなか骨が折れる作業に
なります。
そのような際には出来る限りのムダを省き、円滑に手続きを
進められるように外部の専門家の有効活用をご検討ください。
我々もそのお手伝いができます。
必要になった時は是非、遠慮なくお声掛けください。
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