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「悟風の俳句(8 月)」(通常号 第21号・2002年8月23日発行)

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---◇ 山口“悟風”智・作「おかあさんへの手紙」◇--------------
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-----------------------通常号 第21号・2002年 8月23日発行 ----
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☆今週は、8月第4週。8月の俳句を掲載します。
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(96年八月) 山口悟風

 入院中

てふてふと書いて苦吟の母の筆
線香花火 垂れるまでの命かな
草いきれ懐かし白き病室に居て

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(97年八月) 山口悟風

落款の無き師の書画や曝しゐる
日高路や少年の日の冷し馬
娘に持たす形見の小紋 風入れて
茄子の肌 水はじきつ丶 キュキュと鳴る
奥からは出す程もなし曝書かな
娘と婿と妻と己れと浴衣かな

香煙の残りし墓に水供養
「墓建てよ」口癖の伯父今眠る
墓地へ行く道 フランス料理店

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☆来週は、8月第5週。「おかあさんへの手紙」の背景や他の作品などについて書きます。

☆このメールマガジン版では、明らかな間違い以外は、筆者・山口“悟風”智が書いたまま載せています。

山口“悟風”智のプロフィールは、
http://plaza.rakuten.co.jp/gofu63/profile/
をご覧下さい。
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◆編集後記「千鳥足」◆

 今週の掲載は、俳句だけになりました。先月の第4週(第17号)発行に協力していただいた句友、Mさんのメモにも、今回掲載した以外の作品は、ありませんでした。数は少ないのですが、山口“悟風”智の姿や性格を、かなり正確に表現した句が集まったと思います。

 96年八月は「入院中」になっています。父は、この年の6月25日に大腸がんの手術をしました。5時間45分の手術。この時に、脾臓に傷がついたために出血が止まらず、2日後の27日に再手術をしました。この時は、2時間かかりました。

 たった3日間で全身麻酔を2度もしなければならなかったため、手術後は幻覚を見たり、交代で付き添いをしていた2人の叔母(父の妹たち)や母、妹に、いろいろとわがままを言ったらしいです。このころの様子は、入院中に付き添いした人たちが付けた詳しい日記が残っています。ただ、プライベートな部分がかなり含まれていますので、今回は、この欄での紹介を見送ります。

 句を読んでいただいて分かりますように、悟風は、手術直後の96年分は、消え行く命の炎をかなり客観的に見ています。若くして病気で亡くなった育ての母への思慕や、線香花火に例えて自分の命を見据えています。

 俳句に力を入れだしたのは、ちょうどこの時期だったようです。日記の96年8月30日の欄には、「富貴堂『俳句歳時記』6.800 買っちゃった!!」と書いてあります。歳時記なら、簡単なものなら、どんな書店でも、おいてあるはず。それなのに、北海道北部では、もっとも品揃えが充実している書店(旭川富貴堂書店、http://www.fukido.co.jp/index/)に行き、6800円もする歳時記を買ったのですね。本を買う時に逡巡する悟風氏にしたら、稀有なことです。

 97年になると、「生きている」ことを実感しながら句作していたと感じます。妹がこの年の6月に結婚したことが大きかったのだろうと、私は思います。

 97年8月の作品を読むと、俳句愛好者である「山口悟風」の代表作「日高路や少年の日の冷し馬」は、95年9月に母、妹と旅行した北海道日高地方で馬を見て、馬に乗った少年の日々を懐かしく見ています(2002年5月31日発行の第9号「遠足」他の「千鳥足」をご参照下さい)。

 茄子の句は、熱心な家庭菜園経営者である父が、とれ立てのナスの新鮮さにうれしさを感じています。娘や曝書の句は、「父」として、本好きとしての気持ちがあふれています。

 墓3題は、作品が載っている悟風本人の日記でも、1行空けて書いてありました。祖父らが本家の墓に「同居」させてもらっていたことを、ずっと気にしていたようです。結局、父の死後、本家の墓地が建っている場所の一部を譲ってもらい、ようやく“独立”することが出来ました。私は、帰省の度に出来るだけ、墓参りはしていますが、この夏はずっと勤務がついていて、まだ出来ていません。

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 ところで、先週発行の第20号で母が熱を入れている水泳教室「マーメイド・キッズ」について書きました。99年の大会について、書いてあるサイトがありました。北海道で発行している雑誌「月刊アイワード」の記事ですので、編集部の了解を得て、サイトを紹介させてもらうことにしました。「ハンディ水泳」について、分かりやすくまとめていると思いました。
サイトは、こちら↓です。
北海道ハンディキャップ水泳連絡協議会 
http://www.iword.co.jp/iword/k99_07.html


(発行者・山口一朗)

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■発行者: 「悟風の書斎」管理人・山口一朗
        yamaguchi_gofu@yahoo.co.jp
「悟風の書斎」http://www.asahi-net.or.jp/~jh2i-ymgc/gofu.html
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※トップの画像は、「北海道の地図 市町村名入り」PJさん作成。
旧「風連町」は「平成の大合併」で、名寄市の南半分のあたりになりました。この地図は「イラストAChttps://www.ac-illust.com/ よりご提供いただきました。ありがとうございました。

■「おことわり」

 ☆明らかな間違い以外は、基本的に筆者・山口“悟風”智が書いたまま載せています。なお、原典では「Mさん」は固有名詞(フルネーム)が入っていましたが、この復刻版ではイニシャルとしました。
 また、「アイワード」さんのウェブサイトに載っていた北海道ハンディキャップ水泳連絡協議会についての記事は、リンク切れになっていましたので、当時のURLを、リンクを張らないで載せました。(編集者・悟風のムスコ)

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