バリュー投資はどうして儲かるのか。再帰性の概念とバブルの発生
ジョージ・ソロスについて私がどうのこうのいうのもおこがましいですが、再帰性について考えていることを書いてみたいと思います。
ジョージ・ソロスはヘッジファンドのクワンタム・ファンドの創始者で、相場の世界ではよく知られた人です。ジョージ・ソロスは、20世紀を代表する投資家の一人であり、その大胆な投資戦略と巨万の富、そして社会活動で知られています。1930年、ハンガリーに生まれ。ユダヤ人の家庭に生まれ、ナチス占領下のハンガリーで迫害を受けました。ロンドン・スクール・エコノミクス卒業をしました。哲学に興味を持ち、経済学を学びます。哲学的な思考は、後の投資戦略に大きな影響を与えました。
経歴のこともあり、ソロスは抽象概念を使います。再帰性という概念もその一つです。
株式投資にはバリュー投資とグロース投資という考え方があります。バリュー投資とは評価されていない安い時に株式を買います。そして高くなった時に売ります。これは低く評価されているものがやがてはファエアバリューに均衡するとう考えが、もとにあります。長期では均衡すると考えられています。
しかしじっさにの相場ではいつまでも均衡せず、相場はいつも間違っています。もちろん実際の値段と出来高は、本当に売買が成立していることを示しています。今の値段は現実です。
しかし内在価値というものがあり、いつでも均衡しているのなら、バブルは起きないはずです。バブルとは定義上、価値から乖離している状態ですから。でも実際には大きなバブルはまれとはいえ、小さなバブルは頻繁に起こっています。上がるから買う、買うから上がる。そのスパイラルが株価をバブルまで押し上げます。もちろんそれだけでなく、大体それなりの根拠があります。AIは世界を変えるとか、そういうストーリーです。信じるということがバブルを起こします。確かにAIは世界を変えるのかもしれません。ストーリーを信じることにこそ、バブルのカギがあるのではないかと思います。私にはバブルは文学に似ていると思ってます。
これは株価に限ったことではありません。経済学に期待インフレ率という考え方があります。どうしてインフレが続くのか本当のところよくわかっていません。労働力の需要と供給の関係を表すフィリップス曲線というのがあるにすぎません。現在ではインフレは、人々がインフレがこれくらい起こるだろうと信じているがゆえにインフレになるというのが有力です。
これも再帰性です。日本が本当にデフレから脱却するには人々のインフレ期待が定着することが重要です。インフレになると信じるからインフレになるという、根拠を欠いた信念がデフレ脱却のカギを握っています。
何かを信じるとか、ストーリーとかは現実ではないという人がいるかもしれません。相場の世界を長く見ていると、信じたり、儲けたいと欲望したり、急落の時に恐怖したりする人間の問題こそが現実を動かしていると確信します。虚構とは決して無意味なものではありません。文学は現実を動かすのです。