短歌91
手土産のセンスだけでここまでやってきた人ぶって渡す手土産
歌っててほしいよきみは 押したって引いたって駄目なら篠突いて
脆い青い花束 影までが私を拒絶していないから夢だな
運命は信じたい時に信じるAIに描かれた女の子
町中華にそんなにオムライスがあるのかまだ知らなくて、光りだす午後
朝顔の残機数える 業者っぽいアカウントからのいいねの通知
果てないねぇ うすまった蝉を聞きながら世界の全部は遠くがいいよ
妙なスタンプ送り続けて朝が来る。妙な二人でいたかったけど
夏の夜ばっかりを美しくする宇宙についての知らない理屈
初恋が遠ざかる時しなくなる耳鳴り、すべて、詰めが甘いね
ティーエイド 救われるべき人間を今もまだやれているとして
猛烈に息がしたい深夜の味をかき氷へと掛けたりしない
教育の一環として僕が描いた有名な西洋画の贋作
フルーツの香りといったざっくりな感情を向けて、向けあえて
オーバーなリアクションが嘘っぽくした全ての海の 息 ときめき
雛だった頃の記憶が不確かにとはいえここに残っていて 春
雛鳥と雛鳥と雛鳥がまた僕の分まで求めるをする
こぼれおちる 世界はきみのためにあるってことにすら出来なかった鉄橋
引いてほしい然るべき手段を以てあなたに愛を伝える日には