公園でサッカーする人
FCバルセロナのゲームシャツをまとい、真夏の炎天下、平日昼間の公園で個人技を磨く人がいる。この人は私が知る限り、去年の夏からここでこうしている。去年の夏にたまたま見かけたのが初めだから、もっと前からやっているかもしれない。
3、40代と思しきその男性は、スペインのサッカー1部リーグ所属のFCバルセロナのシャツを着け、ズボンは黒の細身のストレッチパンツ、靴はローカットのスニーカーかフットサルシューズのようなものを履いている。遠めに見ている限り、黒の細身のストレッチパンツは、春か秋なら特に気に留めないが、この快晴の炎天下ではどうも動きにくそうだ。少なくとも私はそう思う。
シンプルに「暑い」ということ以上に、私ならたくさん汗をかくので、タイトなズボンでは脚の曲げ伸ばしの際にひっついて皮膚が突っ張ったり動きが阻害されたりするだろうと思うのだ。私はこの個人技の磨き上げに勤しむ男性を見て自分の汗体験を重ねた。
ファストファッション大手のGUでは、最近のストレッチパンツは伸縮がしやすいから、もしかしたらこの人はGUを愛用しているのかも知れないなと思う。
いずれにせよ、男性は必ずバルセロナのシャツを着ている。
もちろんバルセロナが好きだから着ているのだろう。
個人技といっても、ドリブル要素の個人技ではなく、どうやらロングキックの練習をしている場面が多いように見受ける。
YouTubeで、壁に向けてひたすらキックの練習を続け海外へ行った挑戦者がいるが、このバルセロナの男性もそうなのだろうか。
ロングキックをするには場所を気にせず蹴れる広いスペースがいる。平日の昼間は子どもたちのような公園利用者は少なく、ウォーキングする高齢の人たちでも芝生ではなく外周の遊歩道を使うので、キックの練習にはもってこいのようだ。
加えて、真夏の炎天下であるほど、わざわざ公園に来る人は少なくなる。バルセロナの男性は敢えてこの時季・この時間帯を狙っているのかも知れない。
この男性のゴールはどこにあるのだろうか。