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「近しい」の話

理屈っぽい性格だから、他人の間違いを見つけると指摘したくなる。
自分が指摘されると卑屈になるくせに。
まったく厄介だ。
これで一緒にいてくれる妻はすごいなと思う。
だいぶ感謝している。
妻も妻で風変りだ。面白い。
そんな人生。


「近しい」を、
ただの「近い」・物理的な距離だけの「近い」
の意味合いで使われていたらモヤモヤする。
それは間違いだ、今のとこ。

「近しい」は「したしい」であり、「ちかしい」と書く方が分かりやすいと思う。
「近い」は物理的な距離を表すのに対して、
「近しい」は心理的な距離における近さ・したしさを表す。

「近しい関係」は合ってるけど、
「近しいコンビニ」は違う。

でも言葉なんてミズモノだからそのうち変わっていくんだろう。

最寄りのコンビニに行きたいときに、
「近しいコンビニに行く」と言うのは、今のところは誤用だけど、
そのうち『広辞苑』や『日本国語大辞典』にも載るかも知れない。

物理的な距離のつもりの(誤用の)「近しいコンビニ」ではなく、
人によっては本当に心理的な距離感の意味合いで「近しいコンビニ」と言うかも知れない。

「コンビニ」が大好きで、そこのコンビニに特に愛着を感じて近しいのかも知れない。
そのコンビニの店員さんに惚れて近しいのかも知れない。
そのコンビニの立地、佇まい、入店した時の匂いや照明の感じ、お客さんのちょうどいい空き具合に惹かれて近しいのかも知れない。
過去にコンビニにまつわるトラウマがあったのか何かが原因で、他のコンビニはそうでもないかむしろ嫌いだけど、正にそこのコンビニだけがたまたま刺さるものがあってコンビニへの信頼を取り戻せそう―そんな気持ちから近しいのかも知れない。




人によって何が近しいかはそれぞれだ。
べつに「近しいコンビニ」って言ってもいいよね。
ほっといたれ。