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100年後の価値観

秋始まり。

日本の年度開始が欧米に倣って9月始まりになって久しい。

秋は出会いと別れの季節。
残暑厳しい時季に新しい環境で新しい人たちと新しい取り組みをしないといけない。汗が気になる。グループワークの時間があったら嫌だなと思う。


キンモクセイの香る頃には10月病。

100年前に5月病があったらしいけど、
年度開始が9月に移行され、名称だけ10月病に変更した。

しかし10月病の実態は5月病となんら変わらない。
キンモクセイの香りが10月病の症状を和らげることがわかり、
実質10月病は形骸化した。

キンモクセイには
・精神安定作用、
・冬へ向けての焦燥感の駆り立て作用、
・その焦燥感に伴う2次性の動機付け(モチベーションアップ)作用、
これら3つがあることが、
年度開始が9月始まりになったことにより明らかになった。

いや、100年前から薄々明らかだったけど、
よりはっきりと言語化できるようになった。

WHOは2080年に「10月病(一部の国と地域では5月病)根絶宣言」をしている。


11月の勤労感謝の日あたりから1月の成人の日あたりにかけて
最少でも50連休の年越し休暇が慣例となっている。
クリスマスはイベントとして依然根強く認知されているが、
そんな年越し休暇の中で漫然と過ごされることが増えた。

クリスマスの本質を楽しむというよりセール対象のイベントとして利用され尽くしているところは、
100年前となんら変わらない。

12月29日の深夜に関西ローカルで放送されるオールザッツ漫才(毎日放送)は健在だ。

テレビ業界が縮小された今でも純粋なお笑いファン層のパイは減らず、
M-1・R-1・キングオブコントと、唯一の関西ローカルであるオールザッツだけが、オンデマンド配信を続けている。
過去映像もアーカイブに残っている。


働き方改革4.0が奏功し、
最少でも50連休取得できる年越し休暇が実現した要因として、
経団連と民主政治の崩壊が大きい。

公務員や公務員に準ずる第3セクター機関の職員、中小企業などで、
副業を求める声が相次ぎ、なし崩し的に認められていった。
その結果個人事業主が乱立し、多くがスモールスタートで小さく成功する事例が続出。
「身の丈に合った人生」がキーワードとなり流行語大賞にノミネート。
大企業に所属するメリットが薄めに薄められ、人材が流出し、組織票をあてにし、ずぶずぶの関係にあった政党はトカゲのしっぽを切り、
経団連は瓦解した。

その後、民主政治自体が崩壊。
というのも100年前に成田悠輔氏が提唱していたAI政治が実現したから。

乱立した個人事業主たちはカレンダーどおりの休暇でないことが多い。
働く時間にはあまりこだわりがない。
カレンダー通りなのは官公庁の職員。

民主政治が崩壊しAIに取って代わったことで、
官僚や行政職員が政治に対して余計な忖度をする必要がなくなり、
以前に増してクリエイティブな仕事をする職員が増えた。


一部の識者からは
(AI政治になることで生産性・合理性偏重の無機質な住民サービス、国民サービスが増える)と批判や懸念があったが、むしろ結果は逆だった。

ヒトがテクノロジーと対等にわたり合う世界が実現できている。

シンギュラリティを経てAIに支配される…
それは杞憂に終わった。

そんな中でクリエイティブに働く官公庁職員の強い要望により成立したのが
年越し休暇、50連休だった。
AIが「日本人にとって年越し休暇は必要だ」と合理的に判断した結果の可決だった。




超長期休暇明けの浮足立った心を静め、冬を越して春を待つ。
100年前にはこの時期、「1年の締めくくり」が行われていたそうな。
別れや新たな出会いに備えてソワソワし、心を新たにしたそう。

ある古民家の蔵からはタイムカプセルが見つかった。
張り付いた紙の写真のアルバムや当時流行の音楽CDなどが収納されていた。

松任谷由美「春よ来い」
ケツメイシ「トモダチ」
YUI「CHE・R・RY」

リリース年がバラバラの3曲。
これらの持ち主は何を思ってこの3枚を残したんだろう




そろそろ5月。
そういえば10月病というのを聞いたことがあるがWHOが既に根絶宣言している。100年前は5月病と呼んでいたそう。

今では5月病も10月病もどんなものか知る由もない。
興味半分、一度罹ってみたいものだ。

もしかして花粉症みたいなものかもしれないな。
花粉症は100年以上前からあるそうだ。

コロナもがんもエイズも克服、根絶したのに
人間ってやつは花粉症にはいつまで経ってもやられっぱなしだ。



ああ、暑いな。
100年前の梅雨の7倍の体感の蒸し暑さらしい。
100年前は涼しかったんだろうな。
50年前に台湾海峡に頑強な壁が建設された。台湾海峡のみならず、中華人民共和国の沿岸沿いに海面からせり出すように造られた壁。

目的は分からないが、海面から20㎞上空までそびえ立つその壁のおかげで、
梅雨前線の進路が堰き止められ、
壁から日本側の前線を織りなす雲の濃度が指数関数的に上昇。

50年前以降、壁のおかげで観測可能な黄砂は飛来しなくなったそうだが、
一方壁のおかげで日本の梅雨の湿度が体感7倍って、
良いんだか悪いんだか。


梅雨が明ける前に年度終わりを迎える。


この1年も変わりばえしなかったな。


あぁそうだ…

暇つぶしに100年後の価値観でも想像してみようか