中の人と目が合う
目抜通り沿いのビルやコンビニ、店舗、雑貨屋、はたまた民家、
それらの建物は見られる宿命を負っている。
僕はガラスが特徴的な建物の前を通る時は、鏡代わりに、歩きながら、自転車に乗りながら、建物の方を見るようにしている。服装の確認、髪型の確認、そして中の壁に掛かっているであろう時計の確認、そしてほとんどあとは髪型の確認。
服装や髪型の確認であれば焦点がガラス表面だから、チラッと一瞥するだけでいい。しかし時間を見たいとき、反射で映るこちら側の景色を一旦無視し、そのガラスの向こう側の時計の針に焦点を合わせる必要がある。自ずと前のめりで凝視する。
知っている建物なら、大体中のどの辺りに目を遣ればいいか分かる。しかし急に時間を見たくなって(スマホを見ればいいとかそういう話ではない)パッと左の初めて見る店舗の中の壁を検索。歩きながら通過しきる前に時計を目視できずじまいになることもある。
できずじまいの時である程、それだけ長めに一生懸命店内を見るのだから、視線の動きの途中に店員さんの眼球とマッチングすることがある。
不思議なもので、別方向を向いていても誰かの視線を感じるとそちらに視線が引っ張られることがある。視線って何?気配って何?あれはいったい何でなんだろう。こちらが凝視してる時ほど、相手の視線を引っ張る力は強くなるから厄介だ。見てないですよ。見てないんですよー
いや、見てるけど、時計ですよー
女性店員さんだと余計気まずい。
色んな理由でそれは避けたいから、
別方向を向いていた店員さんがこちらを見そうになる瞬間にすっと視線を逸らすスキルが上がった。
もっと気まずい。