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虎屋赤坂本店の店頭コミュニケーション

先日、手土産を求めて虎屋の赤坂本店へ。
丁度、見事な十五夜が見られた数日前に
訪店したため、売場にこのような美しい
ディスプレイが展開
されているのを見る
ことが出来た。

テーブル毎にテーマやカテゴリで分けてディスプレイしている。
一貫して、シンプルで上品なたたずまい。

「重陽の節句」別名「菊の節句」が9月9日
ということで、十五夜の9月10日に因んだ
お菓子と一緒に「季節もの」として括られ、
売場が作られていた。

私が目を奪われたのは、
「今夜の月」と書かれたPOPである。
訪店した日が「十三夜月」であることが
分かる。
黄色い部分が上下に移動することで、
その日の晩の月がどのような様子か、
一目瞭然だ。
「間もなく十五夜だなぁ」というのも
分かりやすくて、気分が盛り上がるし、
実用的でもある。

虎屋は、当たり前だが、羊羹などを中心に
和菓子を販売する店である。
お客様に、何を買いに来たのかと問えば、
お茶の席でお出しする生の和菓子、
お使い物の羊羹、
おやつに食べるどら焼き、
そんな答えが返ってくるだろう。

虎屋の側でも、もちろんそういった生和菓子、
羊羹、どら焼きなどを売っているというのが
基本的な認識である。
最近交代したばかりの、若き社長による
挨拶を読んでも、
「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」
そのために、愚直に、誠実に、菓子づくりに
励むのだとある。

しかし、単なる和菓子を超えて、
日本の文化を売っている
からこそ、
虎屋はここまで人気があるのだと
思わざるを得ない。

おいしさを実現するための不断の努力を
ベースに持ちつつ、
和菓子の「文化」としての魅力を常に
伝え続けてきたからこそ、
お客様が絶えずに繁盛しているのでは
なかろうか。

今晩の月がどんな月か?
そして、十五夜に向かってどのように
月の見え方が変わっていくのか?
それぞれの月の見え方の呼び名は?
そういった「情報」を、エレガントに
店頭のお客様に伝える
POPを見て、
さすがは虎屋、そんな感慨が湧いたのだ。

日本人が昔から親しんできた、
十五夜のお月さま。
季節を愛でることで、心が豊かになる。
そんなことも思いながら、手土産に
何を選ぼうかと迷う、心地よい
ショッピングの時間となった。

デパートやショッピングモールなどに
入っている虎屋の各支店でも、
このようなPOPを置いているかまでは
確認していない。

いずれにしても、赤坂本店の店構えは
本当に素敵なので、機会があれば是非
訪店をお勧めする。
木をふんだんに使い、解放感に富んだ
デザイン性の高さを持つ店内は、
何とも居心地が良い。

あえて高層ビルにはせず、低層を選んだという赤坂本店。
形状がユニークで、人目を惹く。

地下にはギャラリー、
上階にはカフェもあり、
ゆっくりくつろげる。

先日書いた関連記事も、参考までに。



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