「書かへんと上手くならないよ」
そう長女に言った。
連休最終日に「学校がしんどい」と、軽く落ち込んでいる長女に言った。
そんなタイミングにわざわざ言わんでもいいことを言った。
そしたらめちゃくちゃ機嫌悪くして落ち込んで、泣いた。
僕は長女を連休最終日に泣かせた。
宿題の作文を「ちょっと読んでみて」と持ってきた。
長女としては渾身の力作を、僕に褒めてもらうことを期待して見せてくれた。ざっと目を通して「頑張ったな」って言ったら済むことだ。内容は理解できるし、祖母の助けも得たから構成も整えている。でも一文が長くてさ。ある一文の書き始めと結びが対応してないことがよくある。
「てにをは」がおかしい、話し言葉で書いている、「そして」だけで接続し続けている
そんなことは子どもならよくあるだろうし僕もあったし、今でも自分の子に偉そうなことを言えるほどではないけども。何かどうせならもっと上達してほしくて。僕自身もまだ文章力が進化の途中やと思うからこそ敢えて、自分の子どもに一段上から助言をしたい。
重箱の隅を突っつくようなテクニカルな指導は、学校の先生のすることであって親の役割ではない。
まさかダメ出し食らうと思ってなかった長女は、怒った挙句、泣いた。
悔しかったろう。
でも僕はまだ続けた。
「一つの文が長いって」
「書いたあと読み返したん?」
「人に読んでもらって直してもらうんやって」
「一発で上手に書けることはないから」
「書かへんと上手くならへんよ」
長女はずっと泣いていた。
ようここまで言うたな。
どの口が言うてんねん。
連休最終日に「学校に行きたくない」と落ち込みながらも気合いで仕上げた作文を親父にこきおろされ、長女は悲しさと悔しさで泣いた。
メンタルが落ちている相手に言うことじゃないことを僕は言って、散々言ってから(まずかったかな)と振り返る。もう遅い。
でも僕は長女を心から信じている。
作文に対する評価も本心だし、心配する気持ちも本心だ。
僕の本心と本心が僕の中で衝突した。
連休明けの初日を終え帰宅した長女、
「楽しかったー」って。
よかった。
結果論。