風が強い日
風が強いから雨戸を閉めた。
それでもまだ、家はガタガタしている。
決してあばら家ではないけど、最新の工法を施したものでもない普通の借家なので、外の刺激に対して梃子でも動かぬわけではない。良く言えば可撓性がありしなやかである。
そういう事情から、今宵は静寂に身を委ねることはできない。
ガラス窓が薄い。
雨戸の防御をもってしても、家屋全体の壁と薄いガラス窓とが構造的に共鳴して、ガタガタと音を立てる。
マイホームを建てる人は断熱性を考慮し大体ペアガラスにするのが相場なのだろうか。今の住宅事情に全くもって疎い。今のうちは元々別荘に使われていた家屋を借家として借りている。たまに来て住むにはちょうどいいのだろうけど、ある程度の年数の定住となるとややロースペックではある。
でも僕はこの今の家が気に入っている。散々文句垂れておいて家主さんに申し訳ない。家主さんには会ったことがない。仲介会社を通じて書面のみでのやり取りだから顔は知らない。というか、企業の持ち物だ。相手の顔を知らず、まして個人ではなく法人となると、申し訳ないとは言いつつもその申し訳なさはやや薄められるというのが本音だ。
でも本当に気に入っている。
本当だ。
文句を言いたい記事のつもりでは本当にないのに、僕のライティングスタイルがそうさせるのか、文句の記事に仕上げてしまった。
こういうところだ。
こういうところだぞって、誰かから言われている気がする。
本当にそうだ。自分でもわかってる。
しかし風が強い日だ。