おじいさんの目測
僕は直線片道1車線の本線道路を運転している。
途中、右からこの本線に入る脇道があり、T字路になっている。
このT字路交差点に信号はなく、脇道側の本線への接続部分は「とまれ」である。本線が優先となっている。
僕が件のT字路に差し掛かると、脇道からおじいさんが本線への右折進入を待っている。つまり右折後は僕と同一車線になる。
僕と目が合ってから、おじいさんはゆっくりと僕の前に進入してきた。
僕と目が合ってから、
おじいさんはいけると判断し、
アクセルをゆっくり踏み込み、
僕の車の前に躍り出た。
僕は速度を緩めた。
目が合うぐらいの2車間の距離の近さと、
目が合ってからいけると判断するまでの神経伝達速度と、
その情報を以てしてそれがいけると判断する判断力と、
判断してからアクセルに足が届く神経伝達速度と、
アクセルを踏み込みきる足関節の底屈速度と、
僕と同一車線に進入しきる車体速度と、
進入しきってから僕と同一速度になるまで速度を上げきる足関節底屈速度と、
実際に本線速度に乗り切るまでの時間の遅延、
それら全てを以てして
僕は速度を緩めることとなった。