メンタルヘルスを超えて。起業家・リーダーのためのウェルビーイング
こんにちは。
対話(コーチング・ワークショップ・組織開発など)をドメインとしたhal株式会社の代表を務めています山田と申します。だいたいの方は「りゅーじん」と僕を呼びますのでぜひ!
さて今回の記事では、起業家・リーダーのウェルビーイングとは何か、なぜ重要で、そのためになにができるのかを書いていこうと思っています。
この記事で話すことのまとめ
・起業家にはメンタルヘルスよりもウェルビーイングがフォーカスかもしれない
・ここで言うウェルビーイングは5個くらいに分かれるよ
・ウェルビーイングな方が業績いい相関あるよ
・ジムやサウナに行くよりオススメなのはヨガ
・サーベイで個別最適な施策を考えることもできる
高まる「メンタルヘルス」や「心理的安全性」の機運
メンタルヘルスや心理的安全性はこの数年ですっかり「耳タコ」状態かもしれません。中でも印象的なのは、石井遼介氏『心理的安全性の作り方』がビジネス書グランプリ2021年マネジメント部門で1位を獲得したり、Coral capitalから『メンタルヘルスは事業持続性に関わるCEOの重要スキル』というポストが昨年11月に出て盛り上がったり。
SDGsブームも相まって、投資家も起業家も「持続可能性」の優先度を高めていますし、そのハウツーとしてメンタルヘルスや心理的安全性もセットで散見されます。
リモートワーク推進やジョブ型雇用接近の追い風も受けてか、従来のジョブズ的カリスマ経営は徐々に影を潜め、組織内外の多様性を最大限活かしたマネジメントスタイルへの転換が必要だと声高に叫ばれています。例えば、経営者・リーダーのためのコーチングスキル習得プログラムCoachEdはそのような波をいち早く感じ、2020年にはサービスリリースしていました。
かく言う私も、そんな流れの中で2Cの対話サービスに加えて、メンタルヘルスが優先されづらい創業期の起業家を支援をできればと、halを設立した経緯があります。
(halはhealの語源というのも由来の一つです)
起業家・リーダーは「事を成す」ことでしか癒やされない類の心の課題がある
このような機運にあって、挑戦的で野心的な起業家は悩みます。
社会の現状や構造的な課題、ターゲットの抱えている負が「現にある」にも関わらず、チームや何より自分自身のメンタルヘルスを気に掛けていいものか...
「まだサービスが届いてないターゲットが無限にいるのに...」
「十分にメンバーを食べさせてられてあげれていないのに...」
「社会は1mmも変わっていないしペインだらけなのに...」
halでも起業家のメンタルヘルスのためにと、1年弱模索していました
・コーチングを起業家負担ナシで提供できるスキームにしたり[対個人]
・純粋に企業内でコーチング提供したり[対個人]
・対話型のワークショップを研修助成金で実施してみたり[対組織]
・組織開発を題目としてパートナーをさせてもらったり[対組織]
・組織デザインや会議運営、社内1on1から入らせてもらったり[対組織、個人両方]
これらを通して気づきました。
「社会の課題に対しての前進」すなわち「事業の前進」なしに起業家の心は癒えないのだと...
(ヒロアカのエンデヴァーも結局は社会を平和にせずに救われることはないのと同じです!)
起業家はそういう生き物であるからこそ、メンタルヘルスや心理的安全性自体に価値を置いた施策が難しいし、自身のこととなると殊更後回し。
そんな当たり前のことに気づくのに1年も掛かってしまいました。(おバカ)
起業の失敗は、究極的には「創業者の燃え尽き」
メンタルヘルスが大切だと言われる重大な理由の1つは、究極的には起業失敗の理由が「創業者が辞める」であることが語られます。
「創業者の燃え尽きは、自身が嫌いなことを業務として取り組み続けていることがきっかけで起こる。」
イラッド・ギルがこう語るように、精神疾患はもちろんのこと、広く「燃え尽き」た時に事業や会社は終わるのではないでしょうか。
とは言っても「自分には関係ないしな」と考えてしまうのもまたメンタルヘルスや心の問題の難しいところ。
大事なのは、パフォーマンスを結果的に高める「ウェルビーイング」
ただメンタルヘルスには、精神疾患や燃え尽きへの予防はもちろん、効果的で目的的な側面も持ち合わせています。
ウェルビーイングはまさに、メンタルヘルスを安定させ疾患予防をした上で、より創造的で高いパフォーマンスを出し続けるためにも重要な観点となるのです。
つまり創業者が考えるべきことは、予防としてのメンタルヘルスだけではなく、攻めのメンタルヘルスです。
ウェルビーイングを高めることが、個人と組織のパフォーマンスを強化し、事業で望む以上の結果を発揮する重大な要素となるのです。
これらをざっくりまとめると、起業家のウェルビーイングは大まかに以下の要素と見て取ることができます。(乱暴)
①心身の基本的な健康
②目的に沿った自律的で健全な思考/行動習慣
③持続的な挑戦や能力開発による、自身のポテンシャル最大化
④仲間に対して、①~③を自然に喚起する影響力
⑤事業の前進や課題解決、企業価値の成長
また、①より②、②よりも③という様に、後ろの数字ほど大事にしたい人が多いかもしれませんね!
(こう考えると、メンタルヘルス対策も悪くない気がしてきませんか?)
「創造的緊張のアラインメント」が起業家を救う(②④⑤が該当)
起業家にとって、何がウェルビーイングを高め、クリエイティビティやパフォーマンスを最大化させるのでしょうか?私は「一致(アラインメント)」ではないかと考えています。
例えば
・ビジョンと現実
・理想のチームと現状
・目標達成追求とチームワーク鼓舞(PM理論的
・セルフイメージと他者評価
・市場の複雑性と自身の知性の複雑性
・株主と社員、顧客からの期待
というように、
ギャップや葛藤が生じやすいのがデフォルトなのが起業家たる役割。
まるで『ファイトクラブ』のエドワード・ノートンとブラット・ピッドのように、引き裂かれ両極から引っ張られ続けるような役割です。
(写真:『ファイトクラブ』、CINEMORE)
だからこそ、「こう願っていて、こう考えていて、こうしたくて、こう行動していて、こう評価されている」が一致している度覚が、ウェルビーイングを育みます。そこにチームがアラインメントされると尚ヘルシー。
ピーター・センゲは『学習する組織』で、上級リーダーが根源的に抱いている「理想」と「現実」の正しい認識の重要性を説き、その差分を創造的緊張と呼んでいます。
創造的緊張のアラインメント、つまり「チームが創造的緊張を近しい目線・視座で合意し事業を進められること」は、起業家にとって非常にウェルビーイングです。
(早速ウェルビーイングって何かわからなくなってきたな...)
余談ですが、ウェルビーイングには統計的的なものと身体知的なものがあると考えています。汗をかく運動した方がいいとか、PFCバランスの取れた食事をした方がいいなどは確率のお話しです。ここでは、より個人的な「実感」が大切となることに触れたくてアラインメントを挙げています。それは身体知的で、個人的・組織的な「腹落ち」が優先されます。
「バランスのとれた成長」もじわじわ起業家を助ける(③④⑤が該当)
同じ事を違う言い方をするに過ぎないのですが、バランスの取れた成熟も非常に肝要な観点だと思います。
発達心理学者は成熟や発達を「自己中心性の減少」とざっくり定義しており、例えばロバート・キーガンは以下のような大人の成熟モデルを示していたりします。
成人発達理論では、大人になっても人の心の知性は複雑に成長し続けていくことを見て取ることができます。
また、意識発達研究のアインシュタインとも言われるケン・ウィルバーは『Integral Life Practice』で「マインド(頭)」の発達はもちろん、「シャドウ(影)」「ボディ(身体)」「スピリチュアリティ(精神性)」へのバランスの取れたアプローチの重要性を説いています。
バランスの取れた自己成長に取り組むことが知性の発達において大切なアプローチと言えます
「知性の発達」や「自己中心性の減少」は事業にどのようにポジティブ影響を与えるのでしょうか?
発達は可能性の最大化に関する示唆を与えてくれます。A.マズローは『完全なる人間』などでリンカーンやアインシュタイン、スピノザ、鈴木大拙、ルノワール等、従来の「治療対象」ではないような「天才」よろしく「自己実現的な人」を研究対象としました。
成人の発達とは、究極的には「ポテンシャル最大化を通した、世界へのインパクト最大化」なのではないかという仮説が、名だたる偉人が証左となって浮かび上がります。
(とはいっても、男ばっかりやな...)
小難しい話が続いていまいました。
とどのつまり、
「起業家のウェルビーイングには『創造的緊張のアラインメント』と『バランスの取れた成長』への施策が効くよ」
みたいなことが言いたかったことです。
ウェルビーイングは業績相関する
ウェルビーイングを「心身の能力の十全とした発揮」というざっくりさで進めてきて恐縮ですが、ウェルビーイングは業績相関します。
例えば後に紹介するリーダーシップサーベイでは、リーダーの振る舞いを「クリエイティブ(この記事で言うウェルビーイング的)」と「リアクティブ(自己防衛的、ある種の不適応行動)」に分類して計測します。
(図:『成長する組織とリーダーのつくり方 データで解明された持続的成果を生み出す法則』、ロバート・J・アンダーソン、中央経済社)
そして、「クリエイティブ」の項目は「リアクティブ」に比べ業績との高い相関があることを証明しています。
こうなってくると「ウェルビーイング?興味ないね」とクラウドしてる場合ではなく、「そっちの方が事業進む」「課題解決される」「儲かる」みたいな話になってくるかもしれません...
ウェルビーイングのために何すればええねんコーナー
ここからは、「じゃあウェルビーイングに向けて何しよか」ということに対して、僭越ながらいくつか提案できればと思っています。
提案1:ジャーナリングをしてみる
ジャーナリングとは、ノートや紙を出してペンを持って「考えていることや感じていること」をただ書いていくワークです。
まとまってなくてもいいし、誰に見せるものでもないので、つらつらと書いていくことが大切です。
「べき論」に収束していきやすい職種だからこそ、個人的な考えや感情を出しておく時間を取ることはオススメです。「居場所やスペースを造ってあげる」みたいな感覚でしょうか。
ツールで言うと、muuteはアプリでジャーナリングしAI解析までしてくれます。emolはマインドフルネス認知行動療法的なこともセルフで実施可能です。どちらもおすすめ!
提案2:広い意味での「コーチ」を付ける
ここでのコーチは広義の意味です。友人や配偶者でもいいと思います。まずはジャーナリングで書くような本音を、ただ聴いてくれる他者が存在することが大切だと思います。
利害関係ないが故に本音を話せる相手である必要があります。
本格的な自己成長や権限委譲等マネジメントの課題に取り組む場合は、プロコーチがオススメです。事業経験のあるエグゼクティブコーチが特に好ましいと考えています。興味があればオススメコーチ紹介するので、ぜひご連絡ください。ちなみに、僕もコーチを付けています。
(ささやかな説得力!)
提案3:ヨガをする(できれば僕と一緒に!楽しいから!
インストラクターに従ってエクササイズをすることで、正しい呼吸や正しい姿勢、正しい身体の動かし方を体験的に学ぶことができます。
2021年下半期の個人的大発見として、ヨガはめちゃくちゃいいです!!!ジムに行く起業家は多いですが、ヨガに取り組む方は少ないイメージ。「ととのう」の持続性に関してはサウナの上位互換と捉えています。
「女性のエクササイズ」というイメージもあるかと思いますが、ヨガはそもそもインドの高僧のガチガチお偉い男性たちがやってきたことらしいです笑
(そもそもジェンダー平等元年の令和ですしね...)
いま身体のどこが「微妙」なのか分かり、構造を正しく理解しやってみて少しでも上手く行ったときの爽快感は、「停滞した事業のボトルネックを発見し打ち手が効き数値改善した時」と近しいものがあります。
僕はパーソナルでやってもらっています。ぜひ1対2で一緒にやりましょう!こちらもご連絡ください!
(めちゃ身体が硬くて恥ずかしいからパーソナルでやってます🤮)
提案4:360度サーベイで精緻な現状認識とウェルビーイングへの効果的な打ち手を
最後に、360度評価でリーダーシップに関して分析を行うサーベイを紹介させてください。
halでも提供を開始したリーダーシップ・プロファイル・サーベイ(以下、LCP)はマッキンゼーやフォーブスが「世界最高の360度サーベイ」と称するクオリティです。
記事で話した「バランスの取れた成熟」や「創造的緊張のアラインメント」に関してアセスメントするにはぴったりのものとなっています。
自己評価と他者の評価をまとめ、世界中のリーダーシップのデータベースとの比較の中で「何が効果的」で「何が効果的でない」かを一目瞭然にします。
専門家によるサーベイの読み解きやコーチングによる成長支援もhalで行っています。ピンときた方はお声掛けください!
(無理な営業はしません。話聞きたいだけでも大丈夫です。といのも、打ち手として最適とは言えないケースもしばしばなので)
最後に
この記事は当初、リーダーシップサーベイのプレスリリース前に予告的に書いておこうと思って筆を取りました。しかし、書く目的・意義・意図を考えるにつけて、「ファウンダーのウェルビーイング」というより広い文脈で語っておくべきだと感じこのような内容となりました。
起業家のメンタルヘルスは私自身がぶつかった課題ではありますが、リーダーや次世代リーダー、そして広く職業人と射程を広げていけば、あらゆる人とつながっているテーマです。。
ただ、起業家のメンタルヘルスはとりわけ根深い課題であるように思えます。「リスクを取って、事を成す」という職種上の特性としても、創業者タイプの人間の持つ傾向としてもです。
だからこそ、メンタルヘルスの中でも「ウェルビーイング」に注力した記事執筆を今回したいと思いましたし、そのドメインでの支援・伴走をしていきたいというのが、halの考えているところになります。
想いと痛みを抱えてひた走る起業家にとって、一度の安らぎになるに留まらず、心の底や魂の核から祈ってしまっている「変化」を社会に創り出すための人的・組織的な伴走ができればと願っています。
伴走と行っても、ベタベタ張り付くと言うより付かず離れず。大事な時に出てくるそんな距離感でやっております。まずはカジュアルに話を聞いてみたい・聴いて欲しいでも大歓迎です(それ出会いすらメンタルヘルス・ウェルビーイング的に大切だと思うから)ぜひ、フランクにご連絡ください◎
最終スライドから日程調整に飛べるサーベイ資料↓
もっとカジュアルに話したい方はDMまで↓
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