高い窓/レイモンドチャンドラー
高い窓(The high window)
レイモンド・チャンドラー著
村上春樹訳
大富豪の老女から盗まれたブラッシャーダブルーン(希少なコイン)を取り戻す依頼を受ける。盗んだのは義理の娘だと思われたが、。
洗車係の男とか、エレベーターの爺さんとか、社会的に低く見られてる人と対等に付き合うことで好かれるマーロウを見るのは面白かった。しかもそういう人たちから重要な情報をゲットするとこが、アウトローな探偵って感じでかっこよかった。
本を読みながら歴代のチェスの試合を一人で再現してるシーンも好きだった。
・気に入ったチャンドラー節
モーニー(ナイトクラブ経営者)、レスリー(老女の息子)、マーロウがそれぞれの思惑のために殺人現場で偽装工作を行っていたことをレスリーに説明するシーンで
『「凶器になった拳銃について言えば、君は幸運だった。我々の知っている全ての人間がその銃をいじくりまくっていた。指紋を拭き取ったり、新たにつけたりね。この私も流行に乗り遅れないために、ひととおりやらせてもらったよ。」』(p383)
情報をくれたエレベータの爺さんに5ドルの使い途はあるか(情報代はいるか)と聞いて
『「なあ、あんた、わしは5ドル札なら、エイブ・リンカーンのほおひげが汗でぐっしょりしちまうくらい激しくこき使うことができるよ」』(p286)
ミセスマードック(依頼人)が元夫を突き落としたのなら、なぜマール(秘書)は自分がやったと思い込んだのだろう?