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粋なうちわで涼を呼ぶ

母がベッドサイドに古いうちわを置いていた。裏返して見ると氏神様のものだった。
そう言えば昔は地域の店からうちわをたくさん貰っていた。夏場の広告宣伝に活躍していたのだ。米屋や八百屋はもちろん様々な企業のPR用のうちわがたくさん配られていた。デザインは朝顔や氷、涼しげな風景や浮世絵などでその時代の味があった。

当時のうちわはほとんどが竹製で扇ぐと優しい風を感じることが出来た。

昭和の30年代~40年代の話だ。

その頃は、夏場になると夕方家の前に縁台を出して、夕涼みをした。その時に欠かせないのがうちわだった。
打ち水をして、豚を模した陶製の「蚊やり豚」に蚊取り線香をつけて、縁台で家族やご近所さんと涼むのだ。
父や祖父が甚平を着て、片膝をたて、うちわを片手に涼んでいた姿を思い出す。

使い古したうちわは魚を焼く時に七輪で火を起こすのに使っていた。扇ぎ方で強弱をつけ火加減を調節していたが、祖父は扇ぐのが上手かった。

正月や祭りのちらし寿司作りにも活躍した。酢をきかせるために、炊きたてのご飯を冷やすのに使っていた。その時の母は割烹着を着ていた。本当に懐かしい昭和の思い出だ。


私は、あの頃の竹製のうちわが無性に欲しくなった。この夏は優しい風を運んでくれる竹製のレトロなうちわを一枚買いたいと思っている。



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#この夏ほしいもの

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