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私のテラスタイムを返して
◇◇ショートショートストーリー
雅子さんは美術館のキューレーターの仕事をしています。40歳で独身の彼女は2年前に購入した、リフォームマンションに一人で暮らしています。
彼女の楽しみは、休みの日に朝からテラスに出て、好きなボサノバやノラジョーンズを聴きながら、手作りのモヒートを飲むことでした。
思いきって購入したリフォームマンションの住み心地は最高でした。
ところか半年前から彼女のマンションでの生活は激変したのです。
雅子さんは、ベランダに出るのが怖くなったのです。
洗濯物を干すときも、まずはカーテンの隙間をほんの少し開けて、外を覗いてから、よーく確かめて、タイミングを見て、急いで干して、部屋の中に入っています。
休みの日のベランダでのリラックスタイムは、全くなくなりました。
彼女はまさかこんな日々になろうとは思ってもみませんでした。
彼女がチェックすることがもう一つあります。半年前に目の前に建ったマンションの駐車場に、赤いベンツがあるかどうかを確かめるのです。
赤いベンツがなければ、部屋のカーテンを開けて部屋の空気を入れ替えます。
赤いベンツがあればドキドキしながらカーテンの隙間から目の前に見えるマンションの入口をずっと覗いています。
雅子さんはそんな自分がとても嫌だし、おかしいと思っています。私はもっと堂々としていてもいいはずなんだけど、どうしてこうなったんだろうと。
実は新築マンションの同じ階の目の前の部屋に雅子さんがかつて結婚を考えていた画廊の息子が新婚で越してきたのです。
彼の新しいパートナーは雅子さんが勤めている美術館の後輩のキューレターだったのです。
雅子さんは、何故かきちんと挨拶が出来なくて、まるで家政婦は見たの市原悦子のように、カーテン越しに前の部屋を気にしながら生活しています。
彼女がベランダでモヒートを飲めるのは、いったいいつの日になることか。
「あっ、赤のベンツが駐車場に帰ってきた、カーテン閉めなきゃ・・・」
雅子さんの小さな声が聞こえてきました。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《私は好きにするよー》
リビングでイラスト制作に夢中なばあばとの会話です。
「前のマンションの人の事なんか気にせんでええのに、私は雅子さんの気持ちはわからんねー」
「お母さん、これはショートショートストーリー、物語じゃけんねー」
「物語は面白くしたら、ええわい」
「実は、この物語にも、モチーフがあるんよ」
「ほーかねー、まあ、面白いんをいっばい書いてや」
「ちなみに、雅子さんはどうしたらええかなー」
「私は好きにするよー」
母は、ショートショートストーリーへの感情移入があって、物語の主人公の気持ちが理解できないと、しきりに言っていました。面白いなーと、思います。
【ばあばの俳句】
ベレー帽マスクコーデの衣替え
一足早く衣替えをして楽しんでいる私たちを詠みました。母も私もベレー帽が大好きです。衣替えに合わせて、ベレーもフェルトから夏の糸を使ったものに変えました。母はイラストのマスクをベレーとコーディネイトさせました。
ステイホームと言えども様々な楽しみを見つけて日々笑顔になるように過ごしている私たちを象徴したイラストです。
▽「ばあばの俳句」「毎日がバトル:山田家の女たち」と20時前後には「フリートークでこんばんは」も音声配信しています。お聞きいただければとても嬉しいです。
たくさんの記事の中から、「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただきありがとうございます。
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私のアルバムの中の写真から
また明日お会いしましょう。💗