お祖母ちゃんはキューピット
◇◇ショートショートストーリー
私の祖母は、近所でも評判の美人さん、70歳ですけれどとてもそんな年齢には、見えません。私の自慢お祖母ちゃんです。
お祖母ちゃんは私が小さい頃から、自分の事をマリーって呼ばせていました。何故、真理子なのにマリーって呼ばせるのか、とても不思議でした。
お祖母ちゃんがいつも言っている言葉がありました。「由実ちゃん、彼氏が出来たら私に紹介してやね、応援するけんね」私は中学生の頃からそう言われてきたので、彼氏ができたら取り敢えずお祖母ちゃんには紹介しようと思っていました。
私がジョンと二人で、ふるさとの愛媛に帰ったのはお祖母ちゃんとの約束があったからです。ジョンと交際を始めて半年が過ぎていました。
両親には、大学の友達が、正岡子規の故郷で句碑巡りがしたいというので、家に泊めてあげて欲しいとお願いしました。
私とジョンの出会いは大学の俳句クラブです。ジョンは、幼い頃からおじいちゃんに、日本のことをよく聞かされていて、日本びいきになり、俳句を始めたそうです。
そしておじいちゃんが必ず話すのが愛媛のことでした。彼が私に興味を持ったのも、私が愛媛出身だったからです。
私は、タイミングをみて、ジョンと二人でお祖母ちゃんの部屋に挨拶にいきました。
「あら、由美、ジョンも、どうしたのー」
「実は僕は、由実さんと、お付き合いしてるんです、お祖母ちゃんには、伝えておかなければと思って」
「そー、付き合ってるのねー二人は、素敵じゃない・・・、きっかけは・・・」
ジョンはおじいちゃんのことを話し始めました。
「僕のおじいちゃんが、ハイスクールの時に、ホームステイで愛媛に来たんです」
お祖母ちゃんは急に真剣な顔になりました。
「あなたの国は、アメリカ、それともカナダ、・・・どこ・・・」
「カナダです」
私はジョンから聞いた話をしました。
「おじいちゃんがホームステイ先の女の子に恋をしたんだって、とってもかわいい子だったらしいよー」
お祖母ちゃんは、ジョンに聞きました。
「その女の子の名前は・・・」
「えーと、か・み・た・に、神谷マリーって言ってました」
私は名前を聞いてびっくりしました。おばあちゃんの旧姓は神谷真理子です。
お祖母ちゃんは、それから、ジョンのおじいちゃんが初恋の人だったこと、彼の連絡先を失くしまったことなど二人の話をしてくれました。
ジョンはお祖母ちゃんに聞きました。
「忘れない五月の空のあなたの目、覚えてますか・・・」
お祖母ちゃんはうなずきました。
「おじいちゃんの書斎の棚にその句を書いた色紙が飾ってあります」
”忘れない五月の空のあなたの目”この句はお祖母ちゃんがジョンのおじいさんが帰国する時に手渡した色紙に書いていた句でした。
この日からお祖母ちゃんは、私たちのキューピットになりました。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《俳句は、出会った人に即興で詠むんよ》
「人と人はどこかで繋がっとるんよねー、それを緣と言うんよ、不思議じゃねー」
「このショートショートは、俳句がポイントなんよー」
「私は人と出会った時に、即興で句を詠んで、紙に書いて、渡すことがあるんよ、俳句は、人に気持ちを伝えるのにええツールじゃと思うんよねー」
短い言葉で、今を残すことができる素晴らしい文化だと思います。母から俳句の素晴らしさを学んでいます。
【ばあばの俳句】
夏めいて羽織る一枚選び抜く
立夏を過ぎてからは特に夏めいて、洋服も、薄手で軽やかにになってきました。でも時折、肌寒い時もあったりするので、お洋服には頭を悩ませます。
出掛ける時は、その日の気温や日差しを考えてながら、羽織る一枚を考えている様子を詠みました。
今年は本当に軽やかな透ける素材のシャツなどがトレンドなどで、上手に合わせるとおしゃれ度がアップしそうな気がします。
この時期の不安定な気温を上手に楽しむおしゃれ心必要かもしれません。
▽「ばあばの俳句」「毎日がバトル:山田家の女たち」と20時前後には「フリートークでこんばんは」も音声配信しています。お聞きいただければとても嬉しいです。
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私のアルバムの中の写真から
また明日お会いしましょう。💗