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「何時何分何秒、地球が何回まわったとき?」の答えをガチで計算してみた

(このnoteは、2018年1月に書きました自身のブログ記事を参考にしたものです。ブログも読んでいただければ幸いです。)

どうも、カワウソです。

小学校の頃、こういう文句がありませんでしたでしょうか。

え、そんなこといつ言ったの?何時何分何秒、地球が何回まわったとき?

改めて思います。理不尽だと。地球が何回まわったときかなんていつも気にする人いないでしょう。にも拘わらず、相手を言い返すときだけ出し合いにされる。地球の回転さんが不憫でたまりません。

ついでに言うと、「何回」の回と「回った」の回がかぶるので、文字入力するときわざわざ「まわった」とひらがなにしています。小学生には、早く「周」という単位を覚えてほしいものです。

話しがそれました。このうたい文句、わりと全国的に知られているようですね。

YouTuberのはなお(現在のアカウント名は「はなおでんがん」)さんもこれについて調べていました。


何かの雑誌にでものっていたのでしょうか、なぜか全国的に知れ渡っているようです。

では、そんな全国の小学生の悩みを解決するために(?)、理系学部出身の私が計算してみました。

小学生の方はぜひ、これを参考にして、相手を論破してみてください。わからない漢字やことばが出てきたら、おうちの人に読んでもらいましょう。

「何回まわった」は自転だと仮定する

まず、「まわる」の意味を確認しましょう。

幼稚園でやるようなことに聞こえますが、そうではありません。

地球の「回転」には、自転と公転とがあります。

自転は、自ら回ること。地球は、北極と南極を結ぶ軸を中心としてくるくる回ります。自転があるから、地球には昼と夜とがあります。

公転は、別の星の周りをまわることです。地球は太陽のまわりをまわっていますね。これ(と、地軸の傾き)のおかげで四季があります。

他にも、銀河系の回転などもありますが、話が複雑にならないように、自転か公転のどちらかを選びましょう。「地球の回転」といっているのだから、太陽系や銀河系の移動まで考える必要はないと思っています。

で、今回は自転としましょう。事前に「何時何分何秒」と秒単位まで求めることが要求されているので、より細かい方を計算した方が、きっと反論してきた小学生もうれしいでしょう。

というわけで、今から、地球が今までに何回自転したのかを考えていきましょう。

事前知識と計算方法(概略)

では、地球が何回自転したか、どうやって計算しましょう。

そのために、前知識と、今回つかう考え方を説明します。

まず、地球が生まれて45.5億年経っています。ここで勘のいい人は「45.5億×365.25をすればいいんじゃね?」と思うでしょう。

実際、そういう計算をしてくれるアプリもあるみたいです。なぜかくまモンのイラストが使われています。地球の中心は熊本なんでしょうか。

ただ、そんな簡単な話なら、私がnoteに書くこともなかったでしょう。ちょっと面倒だから、記事にする価値があると思っています。

どうも、地球が生まれた当時は、1日は24時間ではなかったみたいなんですね。

地球誕生直後(いまから45.5億年前)は1日=5時間、6億年前は1日=22時間だったそうです。どうやって測ったかは知りません。たぶん月の回転とかから計算したんだと思います。

で、これをもとにすると、「自転に要する時間は、1年ごとに7万分の1秒遅れる」という仮定が成り立ちます。というか、元のはなおさんの動画でも、この仮定に基づいて計算していました。

で、ここからが本番です。ここまでは思いついても、この先を失敗すると答えにはたどり着けません。

動画では、はなおさん一行は総和を使って計算していました。総和とは足し算のことです。一般には、大量の足し算のことを言います。1+2+3+・・・・・・+10000 を計算しようとしても、直接計算するのは面倒ですよね。しかし、こういう大量の足し算の中には、工夫をすれば楽にできるものがあります。その方法は、高校で習います。また、このときに使う記号から、シグマというときもあります。僕は普段、総和のことをシグマと呼んでいます。

このシグマ、便利ではありますが、万能ではありません。大量の足し算すべてが楽に計算できるわけではないのです。実際、はなおさんたちも途中で断念しました。

そのかわり、積分を使いましょう。

積分は総和とは違いますが、大量、かつ無限に細かい足し算のことだと考えてください。数学をやるうえでかなり便利な方法ですが、言葉でわっかりやすく説明するすべを持ち合わせていません。気になる人は高校2年か3年の数学の教科書か参考書を読んでください。

ここではとりあえず、積分というものを使うと、地球の総自転回数を求めるのに役立つということだけ理解してください。世の親御さんは、小さいお子さんが、「なぜ算数(数学)を勉強しなくちゃいけないの?」と聞いてきたら、「何時何分何秒、地球が何周したかを計算するためだよ」と答えてあげてください。

話がそれました。積分を使っていきましょう。

詳しい過程については、以下写真にて投稿しています。ただ、解答を見る前に自分で考えてみるとより面白いと思います。

導入部分だけ、ことばで説明できる範囲で書いておきます。高校理系レベルの数学で計算できるので、時間に余裕のある方はぜひやってみてください。

地球誕生時、地球は1日5時間。逆に言えば、時速5分の1周です。そこから、1年ごとに7万分の1秒自転スピードが落ちていきます。そこから、地球誕生からx時間経ったときの自転スピードyが求められます。そのyをxで積分してください。xの範囲は、0から45.5億年=39.9兆(時間)です。

こういう計算は、毎年開催されるクイズ番組「頭脳王」の決勝か準決勝にでてもおかしくないと思っています。見た目は壮大だけど、実は、やることはlogの計算に帰着します。あとは桁の大きい掛け算ができれば求められます。頭脳王の計算問題だと「ただし、log●●=××として答えなさい」などの注釈がありますが、視聴者はそういう条件を見れません。そのため、実際やってみる以上に難しい計算をしているように見えます。クイズ番組の闇ですね。

さて、皆様、計算はできたでしょうか。

以下、計算の答え合わせとして、あるいは、答えだけみたいという方は次へお進みください。

(追記) 過程です。
有効数字がいろいろおかしいことになってますが、趣味ということでお許しください。

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地球は何回まわったか

で、以上の計算によると、地球は今までに3.26×10^12周していることが分かります。

一般的な言い方をすると、3兆2600億周ということになります。理系の世界では、有効数字というのが関係してこういう表記はしませんが、別に学会ではないのでいいでしょう。学問的にまだマシ(?)な書き方で言えば、3.26兆周です。「兆周」って言葉、初めて使いました。

まあいいです。結論を言うと、「地球が何周したとき?」の答えは、3.26兆周です。

「それ、正確じゃないじゃん」という反論に対する理系的な言い返し

しかし、これを言ったところで、こう返してくる小学生がいるでしょう。

「え~、2兆3600億周なのか、2兆3600億1周なのか、2兆2600億2周なのかわかんないじゃん。もっと正確にいってよ~」

いますよね、こういう子。算数の点数が低い子に限って妙な正確さを求めます。ダブルスタンダードというものを理解してほしいですね。

それについては、こう反論しましょう。

「じゃあ、君身長何cm?」

ここで、例えば「110cm」と返してきたとしましょう。その場合、こう返しましょう

「え、それじゃあ、110cmなのか、110cm1μのか、100センチ2μ」なのかわからなくない?本当に、1ミクロンのずれもなく110cmって言える?言えないんじゃないの?別に地球が何周したか正確に計算してやってもいいけれど、その前に君の身長をμm単位ではかってよね。」

・・・・・・書いててむなしくなりました。小学生相手に何を書いているんでしょうか私は。

話を続けます。

「君が身長をマイクロメートル単位ではからないように、2兆いくらかの数字の一の位を気にするなんて、JAXAやNASAの人でもしないよ。」「自分の身長も測れないような人に教える筋合いはない」などと立て続けに言いましょう。この辺で、たいていの子は泣きます。

ちなみにですが、兆規模における1の位の差は、100cmにおける1μmの差よりも小さいです(比率的な意味で)。

数学的に見ると、「地球が何周したかを1周単位で気にする」のは、「自分の身長を、髪の毛の1本分の細さまで計測する」よりも細かくて神経質だと言えます。「繊細さん」という言葉が使われ始めていますが、「地球が何回まわったとき?」と質問する子が一番繊細さんになる可能性があります。冗談です。

当計算の妥当性

最後になりますが、この数字の妥当性について考えていきます。

この計算については、いくつか計算方法があります。雑なものでいえば、365×46億をするもの。これで1.68兆周です。教育の大手・学研さんの記事も、そういう感じで結論を出しています。

また、大手少年誌の記事で、地球の回転が昔はやかったことを考慮しているものがあります。ただこちらも、「昔ははやったから、平均で1年500周とする」と、結構おおざっぱな計算方法のようです。こちらでは、2.3兆という答えがでています。

読む対象が小学生(おそらく低学年)でしょうから、それくらい簡単な計算でちょうどいいと思います。小学1・2年にして、当計算で使われた積分がわかるとすれば、その人は前世理系だった記憶がある人でしょう。漫画「推しの子」で、元医者が推しのアイドルの子に生まれ変わり、高校入試で偏差値70をたたき出すシーンがありましたが、まさにそんな感じです。

私の調べたなかで、もっとも妥当だと思ったのは、以下のはてなブログです。地球誕生当初の1年の自転回数と、現在における1年あたりの自転回数との幾何平均(相加平均)をとって計算しています。私のやり方を、よりシンプルに計算し、3.65兆周という結果を出しています。

やや雑な計算方法でも、数兆という規模ですし、これは間違いないでしょう。そして、それよりも高等な方法で計算した場合、3兆周くらいだということも分かります。

私が導き出した、3.26兆という数字は、「地球の自転速度は、毎年1年で7万分の1秒ずつおそくなる」という仮定に基づいた結果です。この仮定が変われば、当然結果も変わってきます。しかし、よほど変な仮定を持ち出さない限り、おそらくは3兆前後になるでしょう。

興味がある方は、ぜひ、他の方法でも計算してみてください。

以上となります。読んでくださりありがとうございました。


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