【表現辞典】霊石典/名作家の文章〈7〉スタンリイ・G・ワインバウム(奥増夫訳)『ピグマリオン眼鏡』(全文無料)
霊石典
この記事は、私が編集している『霊石典』の派生記事です。名作家の作品の中から、『霊石典』収録の言葉が使われた印象的な文章を紹介します。言葉に興味を持つきっかけとして、あるいは、言葉をさらに深く理解する参考として、ぜひ本編の記事とあわせてお読みください。
スタンリイ・G・ワインバウム(奥増夫訳)『ピグマリオン眼鏡』(青空文庫)
これは歌の詞なのですが、同じフレーズを二度繰り返す構成です。ただ、最初の「川は流る」がひとつだけしかないので、その後の繰り返しは二行にまたがっています。ですので、「花にシダに つむぐ歌は」「つむぐ歌は 君の帰り」というふうに、同じフレーズがふたつの文章に分かれて登場することになります。「つむぐ歌は つむぐ歌は」のように、たんなる繰り返しだと、それ以上意味の広がりはありませんが、これだと文章が二種類生まれることとなり、数珠繋ぎのように、次へ次へと物語が引き出されていきます。
しかも、最初の「川は流る」が最後にもう一度出てくるので、そこでまたはじめに戻ります。永遠に終わることのない輪のような構成ですが、[つむぐ]の影響か、私には糸車を回す様子が連想されました。
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この記事では、[つむぐ(紡ぐ)]が使われた文章を紹介しました。
ぜひ、本編の記事もお読みください。
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