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Photo by
ouma
【プロット】車道の真ん中にいる頭脳明晰な大学生
沼地の生物は、独自の生態系をつくっている。
特に微生物の世界を見ていると、人間に荒らされていない沼ではとても面白い。
昨日はアメーバの動きを見るために何時間も顕微鏡を覗いていた。
私が書いたスケッチは膨大な数になり、部屋に積まれている。
大学で博士論文を提出して、受理されたのであとは出版までトントン拍子だろう。
車を飛ばして湿地に向かう途中、路肩に停めて風景を眺めたくなった。
山奥なので、他の車はほとんど見当たらない。
車道の真ん中まで出ると、行き先に目を細めた。
博士号をとって、これから何をするのだろう。
もちろん研究はしたい。
収入を得るためにつまらない仕事はしたくない。
国立研究所の話も蹴った。
組織に所属していると、研究に制約が出てくるからだ。
役に立たない研究にこそ、価値がある。
ただ理想だけを追っているわけではない。
時代に沿って考えた結果なのだ。
車に戻り、昨日の研究成果を音声で配信し始めた。
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