【プロット】断頭台にいるお人好しな傭兵
2年間の傭兵生活を終え、遊馬は東京に帰って来た。
毎日のようにスクランブル発進させた戦闘機の感触が、両手と腹に深く残っていた。
人殺しは誰よりも上手くなった。
すべては心臓病に苦しむ娘のため。
敵機や戦車を破壊して得た報酬はすべて病院へ送った。
1年ほどで娘は退院して、普通の生活ができるまでに回復した。
その後は貧困に苦しむ子どもたちのためにすべて寄付した。
「汚く稼いできれいに使う ───」
自嘲して笑う。
俺は地獄へ行く。
だが、一目だけ娘の顔を見たい。
久しぶりの我が家で、娘に会った途端に日常が戻ってきた。
「お父さん、本当にお父さんなのね」
ショッピングに出かけ、帰りに寄った博物館で、思いがけない物を見た。
断頭台 ───
薄暗い展示室に、それはスポットライトに照らされて浮かび上がる。
まるで遊馬を断罪するかのように。
遠くでサイレンの音がした。
身体がビクッと反応して、思わず地面を蹴った。
目に殺気がみなぎる。
「お父さん」
「やはり、父さんはまともじゃない。
一緒には暮らせそうもないよ」
娘の頭を撫でると、また戦場へと戻って行った。
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