白い紙に、白い対象を、黒くする素材で、白く描くという矛盾
白い石膏像を、白い画用紙に、鉛筆で白く描けるものでしょうか。
理屈は単純です。
固有色は、光が当たるハイライトやトップライトの部分の色で表現します。
だから、陰だけを濃くして、光が当たる上面に触らなければいいのです。
でも、実際に描いてみると簡単ではありません。
まったく描かない部分を残して立体感を表現するには、相当な技量が必要なのです。
究極の石膏デッサンには、2つのパターンがあります。
1つは色彩を完璧に再現したデッサン。
2つ目は、立体感を完璧に再現したデッサンです。
残念ながら2つは同時に実現しないようです。
今回は1つ目の色彩に重点を置いた描き方を目指しました。
白く見せるためには、実際には白くない部分を白くして描きます。
少々の破綻が、実際以上の白さを感じさせるのです。
もう一つ、重要なテクニックは、ハイキーにすることです。
対象の色調に合わせて、大まかにハイキー、インターメディエイトキー、ローキーの3種類のいずれかで描きます。
質感が加わると、マイナーキーとメジャーキーを組み合わせていきます。
立体感を出すために、限界の黒から紙の白まで、最大限に濃淡の階調を使いますが、明るい色調、あるいは暗い色調を増やすと、固有色を強調出来ます。
白い物は、薄い色で描くのは想像できると思います。
しかし、肝心なのは、限界の黒も使うところです。
白と黒のコントラストを強く「見せる」と白さを感じます。
あくまで、見せる、感じさせるだけです。
視覚のトリックと言っていいでしょう。
このデッサンは、写真なので、薄氷を踏むように硬度4H以上の硬い鉛筆と擦る技術で表現した部分が自動補正で濃くなってしまっているのが残念です。
実物は白さを感じるように描いています。
「利益」をもたらすコンテンツは、すぐに廃れます。 不況、インフレ、円安などの経済不安から、短期的な利益を求める風潮があっても、真実は変わりません。 人の心を動かすのは「物語」以外にありません。 心を打つ物語を発信する。 時代が求めるのは、イノベーティブなブレークスルーです。