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「無駄で上等じゃねえかよ!」(『爆笑問題』田中裕二/『踊る!さんま御殿!!』出演中、Z世代の高学歴タレントらのタイパ重視発言に対する反論)

お笑いコンビ『爆笑問題』の
田中裕二さん(59)が、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演し、

「世の中には音楽が溢れすぎているから、イントロはあまり聴かない」

「(文学は)『いい』と言われているものの大まかなストーリーラインを聞いて、これだったら満足
できそうだ思ったら読む」

「アニメとかも面白くなかったら12話分の時間が
もったいない。ネット(上)でここからが面白い
という裏付けがあれば(観続けるよう)
頑張ってみようと…」

…みたいなことを番組中で語る、
東大卒のZ世代のタレントらに、

「なにがそんなに忙しいんだよ、お前ら!」

「なんの時間だよ、それ。
無駄で上等じゃねえかよ!」

「ネット信じすぎなんだよ! ネットが正しいとは
かぎらないだろ! 自分の感想でやれっ!」

…と、ブチ切れて、さんまさんに

「田中さん、興奮しすぎ」

…となだめられておりました。

ぼくとほぼ同世代である田中さんが、我々よりも圧倒的に恵まれた検索環境にあるZ世代に向かって、こう苦言を呈したくなる心情は痛いほどよくわかります。
ただいっぽうで、Z世代の思考回路が、いわゆる

「タイパ」
(※↑「タイム・パフォーマンス」の略語。費やした時間に対する満足度の度合いを示す言葉)

…を重視してしまいがちなのも、彼ら彼女らが「物心がついた時期からインターネット社会と共存してきた」というバックボーンを考えると…、ある程度、
理解できなくはありません。

つまるところ、「世の中のIT化」ってやつは、

「よりいっそうの合理性」

…を目指しているわけであって、
その潮流の真っ只中で20年以上生きてきた人間が、我々世代とはまた違った

「合理性至上の価値観」

…を無意識のうちに育んでしまうのは、
致し方ないと思うんです。

たとえば、ぼくがまだ大学生だった
(約)40年前は、

「スティーブガッドのドラミングをコピーする」

…には、彼が演奏しているレコードやカセットテープを何度も繰り返し聴いて、耳で確認しながら、叩いている手順を頭で想像するしか、方法はありませんでした。でも、最近のZ世代は、YouTubeで「スティーブガッド」と検索すれば、ホンの数秒で「ドラムを叩いている姿」目で確認することができます。
我々世代の何十倍もの最短距離で「正しい奏法」
知ることができるわけです。

ちなみに、冒頭の「田中裕二さん(59)」という
記述も、今でこそネットで調べたら「59歳」であることが簡単に判明するけど、インターネットがない
時代だと、田中裕二さんの実年齢にまで辿り着くのは
一苦労でした。

だから、最近の若い子たちは、ドラム一つとっても…テクニック的には我々よりも断然上手いです。

「タップするだけでポンと得たテクニックと、
地道な行程を経て得たテクニックでは、
同じことをやっていても全然違う!」

…なんて無粋なことは言いたくはありません。
技術的な部分は「得るまでの時間」にどれほどの差異があっても、「同じことができた」からにはそれ以上でも以下でもありません。

したがって、この時代──我々世代は、
ここまで途方もない量を費やしてきた

「無駄な時間」

…を土台として、生じてくる

「味のようなもの」

…という捉えどころのない、斬れ味の鈍い武器
勝負するしかないのです。
そして、そのナマクラ刀一本で、仮に「生成系AI」に勝負を挑んだとしたら──はたして、どこまで…
いつまでぼくらは太刀打ちできるのでしょう?

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