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📕ハゴロモ
よしもとばなな、著
ハゴロモ
青春のすべてを捧げた、初恋のひととの恋愛が、ある日とつぜん終わりを迎える。相手には奥さんも子どももいた。承知の上だった。
孤独になった彼女は、生まれ育った故郷へもどる。
むかし出会った小さな出逢いたちが、彼女の欠けた魂によりそってゆく。
別れの形はひとの数だけあるし、幸せだったときの反動からくる絶望もひとそれぞれだ。誰かと比べるもんじゃない。
あたりまえのように周りにひとがいたりすると気がつきにくいけど、
いざ、孤独になってみると、ひとは絶望してしまいがちである。
そんなとき、自分のなかの幾つかの小さなコミュニティが、救いになってくれる。
だから、若人時分の、気まぐれな人間関係で、あっさり袂を分つなんて、もったいなぁと、私は過去の自分に言いたい。