真夏の嵐山日帰り旅「メインストリートを散策する渡月橋」
旅先で湧き水を見かけるとテンションバク上がりしますよね。
ただ残念なことに近年湧き水による大規模食中毒が幾度も発生しています。風評被害を与える可能性があるので具体例は避けますが、おそらく40度近い気温やゲリラ豪雨による増水が菌を増殖させているのでしょう。十年ほど前までは湧き水の安全神話がありました。水道水よりも安全だとイメージする人は今でも数多くいると思います。かつての私もそうでした。
ここで役立つのが先人たちの知恵です。
京都では水を活用した伝統文化が今もたくさん残されています。皆様は『寒糊炊き』をご存知でしょうか。大寒前の時期に昔ながらの製法でのりを作ります。材料はなんと小麦粉のみ。雑菌の少ない寒い冬が一番適しているとのことで、でんぷん粉を井戸水で柔らかくして一時間ほど火をかけると粘り気が出てきます。これで終わりではありません。地下貯蔵庫で10年寝かしてようやく完成となります。我々が目にしている巻物や掛軸といった貴重な文化財はこの伝統製法の糊が使われてきました。つまり湧き水を飲むなら断然冬がいいということになります。
ただ冬に冷たい水を飲む酔狂な人はそういないので夏にごくごく飲みたいのがごく一般的な心理です。まぁ旅先でお腹を壊すことほどがっかりすることはないので、水質管理がしっかりしているところで飲むとか我々のほうでも気をつけておく必要があります。それにしても気温上昇はこれまでの常識をどんどん覆していきますね。悲しいですが環境規模の問題なのでどうしようもありません。どんな変化にも対応できるようアップデートを常に心がけていくしかないのでしょうね。
では旅の続きに行きます。
前回は上島珈琲店さんでアイスレモネードを頂きつつ、のんびり避暑と時間調整をしました。
あっ、りらっくまのグッズショップだ。こちらもよーじやさんと同じでカフェが併設されています。公式サイトを調べていたら驚きました。
「りらっくまの湯?え?温泉あるの?」
温泉をテーマにしたグッズが並べられているだけで温泉が本当に湧いているわけではありませんでした。でもなかなかおもしろいネーミングアイデアですよね。嵐山の歴史を紐解くと1990年前後のバブル期に山田邦子さんやビートたけしさんなどのタレントショップがあちらこちらにありました。令和となった現在はキャラクターショップが覇権を握っていて伏見稲荷ではちいかわが大人気となっています。嵐山と伏見稲荷でいい感じに分散・棲み分けできているのがとっても平和的ですよね。
カワイイは正義。
私が見たこれまでの寺号標の中で一番大きいかも。
総門からは中門が見えるのみで建物の姿はありません。
それだけ広い境内であることを示しています。
学生時代に天龍寺大方丈のお座敷で二時間庭園を眺め続けたことがあります。
基本飽き性なのですが二時間経ってなおそこに居続けたいと思わせる魅力が曹源池庭園にありました。夢窓国師はやはり偉大な作庭家です。
あら、風流な建物を発見。
嵐山昇龍苑と呼ばれるショッピングモールになります。
ここにも数十年前は原宿や渋谷のような若者迎合のポップなタレントショップが並んでいました。しかしバブル崩壊とともに廃れて今は景観に合わせた和風デザインへ回帰しました。
こちらが京福電気鉄道嵐山駅になります。
実は私一度も立ち寄ったことがありません。キモノフォレストもずいぶんあとに知ったほどです。私の地元から嵐山までは観光バスで向かうのがほとんどで嵐電を使う機会って滅多にないんですよね。暑すぎて立ち寄る余裕がなく今回も素通りする結果となりました。
ここで平安貴族の夏の味覚「けずり氷」を高校生が再現するイベントがあると聞いて事前に予定を立てていたのですが、体力の問題で行けず終いとなりました。天穂のサクナヒメというゲームに削り氷が出てくるのでぜひとも食したかったです。
ヤサカタクシーさんだ。
京都・観光文化検定試験20周年記念式典で特別仕様車が展示されていたのでバシバシ撮影しました。関係者の方々がとても優しく対応してくれたことを今でもはっきり覚えています。あのときは本当にありがとうございました。
国民が思い浮かべる京都の橋といえば四条大橋かこちらですよね。
一条戻橋とか一文橋と答えたあなたはただの京都マニアです。あしからず。
え?鉄筋コンクリート製の桁橋だったの?
完全に木製だと思っていましたよ。そういえばゲリラ豪雨で増水したときにかなり頑丈だった記憶があります。鉄筋コンクリート造であるとは容易に判断できない工夫が施されている、とWikipediaに記載されていました。いやはや実にお見事な工夫とデザインです。
駒札の隣に佇むこちらは歌碑になります。
ちなみに嵯峨嵐山文華館HP『百人一首文芸苑』にて「小倉百人一首 嵐山・嵯峨野歌碑巡り」が紹介されています。2007年に京都商工会議所120周年記念事業の一環として建立されたもので、なんと和歌の歌碑が100基もあるんですって。
面白そうなのでスタンプラリー感覚でやってみようかな。
学生時代に何度も訪れて飽きるぐらい見た景色でしたが歳を取ってみるとなんとも味わい深く感じるものですね。
長野県の素晴らしい渓谷をいくつか見てきましたが負けず劣らずの風景で、そりゃ世界も注目する観光名所だなと改めて思いました。
え?こんなところに車折神社があるやん。
京都検定にはいくつか引掛け問題がありその中の一つに「三船祭」があります。嵐山からずいぶん離れたところに本殿があると思い込んでいたので、主催が車折神社だとは最初まったく理解できませんでした。まぁ地図で見たら割と近い場所にあって京福電鉄に乗っていると遠くに感じて…。この思い伝わるでしょうか。
嵐山頓宮が近くにあったからこれまで三船祭が滞りなく催されてきたのですね。すべての合点がいきました。
人力車だ。
なるほどここが待機所になっていて次々と送り出すシステムになっているんですね。テレビでよく人力車のお値段の話を聞くので、てっきり各々の俥夫さんがお客を待っているのかと思っていましたよ。まさか組織化されていたとは。
どちらかというとガイドしたい側の人間なので人力車に乗ることはありません。でも京都検定を受けている人がけっこういそうなのでもし機会があればそっち方面で盛り上がりたいですね。(厄介認定されそうだけど。)
こちらは葛野大堰になります。
パシャパシャ写真を撮っていたのは建造物好きの私くらい。外国人観光客のほとんどはあんまり興味を示していないようでした。まぁ日本っぽさはないですし彼らにとって特別珍しいモノではなかったのでしょう。
目的地の間近までやってきました。
こちらは小督塚と呼ばれる旧跡になります。
前々回にお話しましたように私は謡曲に一度も触れたことがありません。
しかしアニメを視聴するのは好きです。小督の逸話はアニメ版の平家物語で知りました。境遇は中宮定子と大変似ているので大河ドラマ『光る君へ』を視聴している方なら小督の悲恋も共感できると思います。
嵯峨野で隠遁したということは知っていたのですが、小督が身を隠した仮住居って渡月橋に近い場所だったのですね。もっと山側のほうをイメージしていましたよ。
学生時代の頃とそんなに変わっていない嵐山の景色。京都のことを深く知り今回新たな魅力を見つけた気がしました。
次回は二つ目の目的地となる福田美術館へ訪れます。ぜひ見に来てくださいね。
今回の旅ルート
参考サイト
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