7 やっぱり大事です、定点観測
子供の訪問リハビリで気づきました。
っていうよりも、思い知らされたって感じかな。
こんな経緯
「生後1歳だけど、寝返りもしない、ようやく定頸したのみ」っていう保健師さんの連絡で、保健師と同行してその後定期的に訪問看護ステーションから訪問することになったケース。
今はもう6歳にもなって、来年からは支援学校に入学することも決まった。
この5年間一緒にやってきたなって感慨にふけりつつも、この春でリハビリをいったん卒業することにしたからもうすぐお別れ。
ブロックを使って両手動作の練習を時々やっていたんですよね。
ブロックのバケツからブロックを取り出すことはできなくて、いつでもブロックのバケツをひっくり返して、ブロックをぶちまける。
だから必要なブロックだけを僕がバケツから取り出して、ブロックで遊ぶって感じ。
ブロックバケツとか、他のおもちゃがあるとそちらに気がいってしまって課題に集中できないので、必要なものだけを机に置いたり、子供の前に置くなどして集中できるように工夫していた。
だから、課題をする時は必要なものだけを目の前に出しておくってことが、ここ1年くらい僕の中でルーチン化していたんですよね。
ある日突然の出来事
子供の両親は共働き、だから同じマンションの祖父母宅へ両親の出勤とともに預けられて、僕の朝1番の訪問リハビリが終わると、祖父母が保育園に連れていくってパターン。
ある日、祖父がコーヒーを自分の分と僕の分を入れてくれました。リハビリ中だったけれど、その日は次の利用者さんもキャンセルで時間に余裕があったので、リハビリをいったん中断して、祖父とコーヒータイム。
何気なく、担当ケース見てみるとブロックバケツからブロックを1つずつ取り出して、あちこちに放り投げています。
バケツから1つずつ出してる
バケツから確かに一つずつ出してる
いやあ、びっくりしました。コーヒー飲んでるときにいつの間にか自分でブロックバケツの前に座ってバケツから1つずつブロックを出しているじゃあないですか?
ブロックバケツをひっくり返さずに行動は続いています。
取り出したブロックを合わせることはできないけど、バケツをひっくり返してぶちまけるってことはありません。
いつの間にかできていたってこと
僕のこのケースへの目標は両手を使って課題に取り組むこと。片麻痺なので、両手をしっかりと使ってほしかったんですよね。
だから課題に集中できるように、必要のないものは片づけてからプログラム開始って感じにしてました。
だから、最初の頃はバケツからブロックを取り出すって活動をしていたんだけど、だんだん課題を絞って両手動作に取り組んでたんですよね。
バケツから取り出すって課題はやってなかった。
じゃあ、バケツから取り出すっていうのはいつごろからできるようになったのか?
もう今となっては確認のしようがありません。
定点観測の必要性
訪問リハビリにしろ入院リハビリにしろ、こんなことにときおり遭遇します。
いつの間にできるようになったんだ?
ってこと。
PDCAサイクルで確認しようとか、評価と治療は表裏一体とかエラそうに若手に説明したりしてる。
最近地域リハビリでは
SPDCA
だしね。
できなかった課題や動作や、やってみたい活動に対して僕らはアプローチするんだけど、苦手だったり出来なかった課題のすべてを定期的に再評価しない。
出来なかった課題のいくつかは再評価をして、自分のプログラムを再修正したり、患者さんに変化を確認してもらったりする。
その再確認・再評価すべき活動の選択はセラピストの判断により決められていることが多い。
だから僕たちの判断外にある活動や課題がいつの間にかできるようになっていたら、いつからそれを出来るようになったのかっていうことの確認はできない。
定点の選択が悩みどころ
だから、どの課題や活動を定期的に評価するのかってことを判断して決めるのかってことはセラピストの能力によって左右される。
バケツをひっくり返さずに中身を取り出す
これが出来ることの意味は発達過程の中でけっこう大事なこと。それを見逃していた僕・・・。
僕の中の定点観測項目には入っていなかった。
再評価項目ではなかったってことだ。
何を選択して再評価するのか、ここにセラピストとしてのセンスが関わってくる。
まだまだ精進しないといけないってことだ。
ファイト!おれ!
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やまだリハビリテーション研究所がnoteで開始する、リハビリコラムの第1段です。10個くらいのコラムを掲載します。
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