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私がFP事務所を開いた経緯

前回記事で私がFP資格に興味を持つに至った経緯を書きました。

今回はその続きです。

3度目の米国駐在は単身赴任のせいか、さほど楽しくありませんでした。私が愛したのは米国ではなく、家族と過ごす米国生活だったのでしょう。

それでも好きだったトラックをまた購入して週末はメキシコ湾岸沿いのカジノに時々通いましたが、他に仕事以外にすることといえばゴルフかバーで酒を飲むことくらいです。

米国生活4代目のトラック

数年が経過し、そんな生活を改善しようと考えた時に知ったのが「AFP (Affiliated Financial Planner)」なる日本FP協会の認定資格でした。

これは今回赴任前に合格したFP 2級の延長のような民間資格であり、海外からでもインターネット利用にて数ヶ月で取得できます。

AFP認定者になる為には「提案書」作成試験がありますが、その作業の中心は相談顧客への将来キャッシュフロー表です。

私は自分自身の資金計画表を、その時点での金融資産保有額に加えて退職金や将来年金等も詳細に反映させて作ってみました。

当時54歳でしたが、そこでの結論は「生活の為にこれ以上働く必要はない」、つまり「プチFIREできる」というものでした。

家族が米国永住者として戻る意思がないことが分かった中、私自身も「リタイアメントは日本」と既に方向転換していました。

コモディティトレーダー業を本懐としてきた私は管理職ポジションにも最期まで慣れきれず、早期退職する事を念頭に会社に帰任の希望を伝え、暫くして日本に戻りました。

帰国後は住宅購入など会社員という立場で済ませておきたい作業をこなしていきました。

自宅は現金一括で購入が可能でしたが、敢えて低利な変動金利で借入を行い住宅ローン税額控除の恩恵を享受すると同時に、投資活動レベルを落とさない設計にしました。

2020年の年明けに実質的に退職しました。

「実質的」というのは有給休暇の消化や休職制度の利用に加えて、コロナ禍の勃発による出社制限により前倒しになったからです。

コロナは退職後の計画も狂わせました。

前代未聞の自粛モードの中、海外はもちろんのこと、国内移動ですら批判を浴びる空気は数ヶ月で収束する気配はありません。

そこで思いついた自宅でできる「知的な時間活用」がCFP (Certified Financial Planner)認定者への挑戦でした。

半年後の11月試験に照準を合わせました。

投資はもともと好きで米国滞在中も現地ネット証券にていろいろとやっていましたが、ポートフォリオ理論などを系統的に深掘りできたのはこのお勉強のおかげです。

金融資産運用設計、不動産運用設計、ライフプランとリタイアメントプランニング、リスクと保険、タックスプランニング、相続・事業承継の6課目を 2週に渡りまとめて受験して一括合格しました。

しかしその後もコロナ禍は収束せず、翌年は資格オタク化してFP1級、宅地建物取引士、MOS (Microsoft Office Specialist)、プライベートバンカーと立て続けに受験しすべて初回受験での合格を果たせました。

事務所開業を考え始めたのはこの頃だったでしょうか。

その理由は資格取得に加えて、私的に受け始めていた資産運用などの相談を通じてFP的経験値を積み増すことができ、そこに需要を感じたからです。

またその頃もう1つ意識し始めたことが「職業無職」からの脱出です。

コロナ禍が継続する中で遊びにくい環境は続いていたものの、国によるトラベルクーポン事業などを利用して、乗り鉄の血が流れる私は静かに国内旅行を開始していました。

2020年12月北海道にて

ホテルチェックイン時の「50代無職」との記帳はフロント越しに顔を二度見されたりして、その「肩書」は開放感の象徴から居心地の悪さに変わりつつありました。

一方で私は自分の現役時代に多く見かけた、つぶしが利かない仕事を長年続けた挙句に後輩や元取引先に仕事や飲食をおねだりする「退職後も会社にくるおじさん」にだけは絶対になりたくありませんでした。

2022年5月、私は所轄税務署に「個人事業開業届出書」と「青色申告承認申請書」を提出して当事務所を開業しました。

コロナ旋風がなければ、この事務所は誕生していなかったことでしょう。

追記:

プチFIRE実行者として緩く起業していますがおかげ様で事務所売上は順調に毎年伸びてきています。

やり手と称される金融業者や投資用不動産会社との面談に顧客と共に同席することもありますが、前職で対峙した海千山千の海外ブローカーと比較すれば中学生レベルに感じます。

当事務所のミッションステートメントは「” プラグマティズム ” 世の中の変化を見逃さず、常に最適化を意識する」ですが、これは裏技探し狙いではありません。

鳥瞰図的に問題を把握し、保有されている有形無形の材料を融合化させて金銭面での将来最適化案を提示してサポートすることです。

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