ケーテ・コルヴィッツと「病んだ母性」
この作品はケーテ・コルヴィッツ「母と2人の子」である。
作品は1927/37に制作された。
コルヴィッツは第1次大戦で息子を、第2次大戦で孫を戦死で失っているが、つくられたのは大戦間時代である。
この作品は彫刻作品としてまとまりのあるフォルムを持っているけれども、まとまりすぎているきらいがある。
2人の子を抱く姿は、母の顔が見づらいことも相俟って、何か、病的な印象を与える。
不安というものに冒された母性というべきか。
この作品には息子の死が影を落としていることは想像に難くない。
この作品からは、悲劇性がにじみ出ている。やがて来るものを予感しているかのようだ。
そこからは、コルヴィッツの苦難多き人生を読み取るにあまりある。