巨大バンブー・ドームを屋上へ運ぶには
今現在私が働いている事務所 Vo Trong Nghia Archietcts(ヴォ・チョン・ギア・アーキテクツ) は、ベトナム人建築家のギアが主催するベトナム系建築設計事務所だ。
http://votrongnghia.com/
他の業界ではそうでもないが、竹を用いた建築 : バンブー・アーキテクチャや、巨大な樹木を住宅に植えるプロジェクト : ハウス・フォー・ツリーズを筆頭に、建築業界では中々有名になりつつある。
で、そんな事務所を今月中に退職する予定なのだけど、様々な友人に事務所のどこがイヤだから辞めるのか、など色々なネガティブな聞かれ方をされるようになってしまった。
以前のエントリで会社を軽くディスってしまったのが悪かったのか。
私が会社の色々なことが嫌になったので辞める、という不名誉な印象を払拭するためにも、弊社のオモロ面(面白かった場面)も、これからはしっかり書きとめておこう。
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NOCENCO CAFE
一つの例として、自分の担当した物件での経験を考えてみた。
最近担当した物件の中でも面白かったのは、ベトナム中部の都市の中層ビルの最上階+屋上を竹を用いてリノベーションした、NOCENCO CAFEか。
屋上のルーフトップ・クラブには高さ12mのバンブードーム鎮座ましましており、下階ではたくさんの竹の柱が既存の柱と天井を覆い隠し、まるで洞窟のような空間を持つカフェとなっている。
竹の建築は、完成した空間もそうだけど、できるまでのプロセスも非常に面白い。とにかく、平時のように建築材料として規格化/最適化されていないので、色々なところで腕力頼みの解決方法とかが適用されたりして、極めて面白い材料なのだ。
屋上にドームを建設する
竹が建材として使われるメリットはいくつもあるが、今回は"軽量であること"が特にフィーチャーされたプロジェクトだった。
弊社では珍しい高層階におけるリノベーションということで、最上階まで材料を運搬する労力や、新しい構造体を付加する際の既存建物への負荷を最小限にすることが課題になるだろうことはわかっていた。
そこで、コンクリートや煉瓦に比べて軽量な材料である竹が選定されることになったのである。
通常、弊社の竹の施工方法は、建設前にある程度のユニットを形作り、それを組み合わせてドームなりなんなりを形作る。しかし今回は屋上での風があまりにも強く、また十分な作業スペースがないため、屋上での職人の作業は最小にすることが求められた。
そこで、とりま地上でフレームを作って…
クレーンでまるごと持ち上げることにした。
この写真、めちゃくちゃシュールじゃないですか?
やー、いい写真だ。
そして、屋上で待ち構える職人が受け取り、次々とお互いを連結していく。
すごい力技で場所を合わせている。街の新しい祭りではない。
そこら辺歩いてたおじさんたちをスカウトして無理やり働かせているようにしか見えないが、みんなプロの職人である。
あ、ヘルメットと見せかけて密かにテンガロンハットをかぶってオシャレしてるおじさんがいる。
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そんなこんなで随所で人の手作業や創意工夫が感じられるのが、弊社におけるバンブー・アーキテクチャの面白さかもしれない。
ちなみに、施工中が一番かっこよかったりもするため、現場写真の中に上のような奇跡の一枚が混じってたりするのも面白い。
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