生きるが幸か、死ぬが幸か
わたしは今までに一度も死にたいと思ったことがない。悩みがあっても大抵はどうにかなってきたし、傷つくこともあるけれど、絶望するほどの経験はまだしていない。周りに悪い人がいるようにも思えないので、もしかしたらラッキーな人間なのかもしれない。
高校2年生の時に、2つ年上の先輩が亡くなった。雨の日の交通事故だった。優しく微笑む遺影。淡い色の浴衣がよく似合う。会場に飾られた、先輩の描いた日本画からは、物腰の柔らかい雰囲気がにじみ出ていた。残された親族や参列者の列を見て、人って年齢順に死なないんだな、と漠然と実感した出来事だった。
今月26日に、元KARAのク・ハラが意識不明で発見された。家の中で煙を吸った痕跡があったり、SNSでの情緒不安定な投稿が複数あったことから、自殺未遂では、と憶測が飛び交っている。
自殺未遂だったとしたら、目が覚めたときに彼女は何を思うのだろう。まだ生きてるのか、と落胆するだろうか。生きててよかった、と安堵するだろうか。生きていられるだけで幸せだ、とはよく言うが、それが当てはまらない者もいるだろう。人の心の奥深くのことは、結局は誰も触れることができない。
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