お薬のお話〜血管収縮薬との付き合い方(アレルギー性鼻炎・鼻づまり)
こんにちは、やま茶です。
今回はアレルギー性鼻炎に使用する血管収縮薬について考えてみましょう。
というのも耳鼻科の門前は3回目なのですが、これまでの経験を凌駕する耳鼻科の処方に出会いました。
風邪+アレルギー性鼻炎に薬が合計10種類の処方でした。
簡単に内訳は、咳止め・去痰剤・解熱剤・鼻づまり漢方2種・鼻づまり点鼻2種・喉うがい薬・ステロイド内服・抗生剤でした…
どこから手をつけて良いのやら… これをきっかけに今回の記事を書いてみようと思ったのです。
”健康な成人の風邪に抗生剤はいらないぞ”は前記事に記してあります。
血管収縮薬についてなぜ注目したかというと、薬剤性鼻炎なるものが存在するからです。
薬剤性鼻炎は、血管収縮薬以外にも、降圧剤(ACE阻害薬・α遮断薬)や前立腺肥大または勃起不全薬(PDE5阻害薬)、解熱鎮痛剤(アスピリンまたはNSAIDS)など1)多岐に渡るが、今回は血管収縮薬についてのみ記載することにします。
鼻づまりが辛くて使用していたつもりがいつの間にかその薬剤によって鼻が詰まっていた、という現象で、これは事前に知識があれば防げるものなのですが、市販で簡単に薬も手に入るし、理解が不十分なまま使用することにより、薬剤性鼻炎になっている人は一定数いると思われ、日本と同様にOTCで簡単に血管収縮薬が手に入るオランダでの最新の研究ではこのような薬剤性鼻炎は14%の割合になる2)と言われています。
具体的にはGoogleで「鼻づまり 薬」で検索すると上がってくるのが、
佐藤製薬のストナリニ®︎Sやナザール®︎スプレー、アリナミン製薬からはベンザ®︎鼻炎薬αであるが、飲み薬から点鼻薬まで幅広く市販されていてドラッグストアに行けばすぐ手に入る。
いずれも使用説明書には、「長期連用しないこと」や「5〜6日使用しても改善しない場合は医師・薬剤師・登録販売者へ相談すること」が記載されています。
3日程度使用するには問題ない3)が、継続して使用する場合は、薬剤師としても薬剤性鼻炎によるものではないか?という疑いは念頭に置いておきたいところ。
これらの薬は、慢性的に使用することで鼻粘膜の交感神経が収縮する力を失うという2)。
詳細な説明は、アレルギー性鼻炎ガイド2021年版4)に譲るとして、こういった鼻炎の症状は抗原に感作された細胞が化学物質を遊離することで起こるので、基本的にはステロイド点鼻の継続使用や抗原に晒されないような対処が必要になります。
つまり、血管収縮薬は即効性があるので使用されるのだが、連用する薬ではないのです。ガイドにも「どうしても必要な時だけ使います」と丁寧に書いているではないか!
Pubmedで”Rhinitis medicamentosa”(血管収縮薬による薬剤性鼻炎のことでRMと略すこともあるらしい)と検索して3ページほど遡って調べてみたが、まだまだこの領域は診断や治療法が確立していないらしく5)、カナダで耳鼻科医に行った調査6)では、
・96%が血管収縮薬の中止、うち61%はステロイド点鼻を同時に処方
・94%がステロイド点鼻の処方
・55%は生理食塩水による鼻うがい(効果がある場合)
・25%ステロイド内服
といった治療をしている結果が得られた。
また、医師の75%は現在の血管収縮薬の使用上の注意喚起は不十分であると考えている、という回答を得られた。
上記からも、血管収縮薬こそ、市販での販売は辞めて、処方薬のみにすべきではないか?
または、要指導医薬品のように薬剤師がしっかり介入できるようにすべきだと思う。
対策としては、血管収縮薬連用による鼻炎もあると理解した上で、鼻づまりは初期の軽いうちから早めにステロイド点鼻薬を継続して使用し、どうしても辛い時に血管収縮薬を使う方が良いと思う。その場合も3日を超えて使用しないことだ。
季節性のアレルギー性鼻炎であれば、ステロイド点鼻は該当季節のみ継続使用となるが、年中使用しないといけない人もいるでしょう。そういった方は、食を変えることをお勧めする。
根本的な対処としては、鼻づまりの原因の抗原に感作しないような対策をとることだ。
幼少期の予防接種もアレルギー性鼻炎の一因7)と言われているが、農薬まみれのアメリカ産小麦を避けること8)も大事だ。つまり、多量の農薬が抗原になりうるのではないか、ということです。
信じられないかもしれないが、7),8)の書籍を読めば、納得するでしょう。
食の改善を後回しにして薬を使用し続けることは、抗アレルギー薬を製造する農薬兼製薬メーカーにいつまでもお金を貢ぎ続けるということで、そもそもこの状況を作ったのは食の規制を緩和してきた日本政府にも非がある。
日本政府は誰の利益のために動いているのか、ぜひ考えてほしい。自分の健康と政治は関係している。
この事実は、アレルギー性鼻炎に悩んでいる方全員にお知らせしたい内容であるが、1人あたり5分くらいしか割けない普段の業務では実現しないし、医師も同じでしょう。
またかなりの割合がアレルギー性鼻炎患者の受診で経営が成り立っている耳鼻科開業医にとっては、上記食に関する事実は都合が悪いものでもある。
また、医師の中で、薬剤性鼻炎まで頭がまわってないだろうことは長期間血管収縮薬を漫然と処方している処方箋を見ていると読み取れる。
ほとんどの薬剤性鼻炎は血管収縮薬を中止するだけで改善すると思うが、なかなか治らず困っている方は、血管収縮薬よりは、ステロイド点鼻薬の継続使用を推奨するし、やはり食を変えてみることだ。
注意が必要な血管収縮薬 ※成分で判断してください
チクナインc点鼻スプレー(ナファゾリン)、ストナリニS(フェニレフリン)、ストナリニ®︎サット(フェニレフリン)、アルガード®︎クイックチュアブル(フェニレフリン)、アルガード®︎鼻炎内服薬ゴールドZ(プソイドエフェドリン)、ナシビン®︎Mスプレー(オキシメタゾリン)、ナザール®︎スプレー(ナファゾリン)、パブロン®︎鼻炎カプセルSα(プソイドエフェドリン)など
参考文献
1. Dana V. Wallace et al. The diagnosis and management of rhinitis: An updated practice parameter. J ALLERGY CLIN IMMUNOL VOLUME 122, NUMBER 2.
3.Ostroumova OD et al. [Rhinitis medicamentosa].Vestn Otorinolaringol. 2020;85(3):75-82.
4.日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会. アレルギー性鼻炎ガイド2021年版.
7.ロバート・F・ケネディ・ジュニアら. The Real Anthony Fauci 人類を裏切った男(上)巨大製薬会社の共謀と医療の終焉. 経営科学出版.2023.
8.内海聡. 毎日の食事に殺される食源病〜医者が教える汚染食品から身を守る方法〜. 株式会社ユサブル.2022.
本記事作成時間は約4時間半要しております(記録用)。
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