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小中学生のネット使用の実情
私は児童福祉分野で働く、発達相談11年目の臨床心理士・公認心理師です。
このnoteでは、
"全ての人に快適育児を"
をモットーに、子育てや発達に関する情報を発信しています。
今回は、「小中学生のインターネット使用の実情」についてお話したいと思います。
是非、最後までご覧ください。
最近、マッチングアプリで未成年が犯罪に巻き込まれるケースをよく耳にします。
特に小中学生は、自分で考え判断することがまだまだ難しいです。また、危険意識が低いが故に自ら危険なサイトにアクセスしてしまうことも考えられます。
その背景には、スマホやタブレット、ゲーム機などのデジタル機器を使用する頻度の高さが関係していると思われます。
そこで今回は、"小中学生がデジタル機器に依存しないようにする方法・危険の伝え方"をテーマに、3回に分けて記事を投稿します。
まずは小中学生のインターネット使用の実情について共有したいと思います。
インターネット使用率
こども家庭庁が開示した、「令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」によると、小学生(10歳以上)の98.2%、中学生の98.6%、高校生の99.6%がインターネットを利用していることがわかりました。
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インターネットを利用する機器
最も多いのがスマホであり、次いで、学校から配布・指定されたPCやタブレットとなっています。
コロナ禍の影響でオンラインが普及して便利になった反面、大人がうまくこれらの機器を管理しないと、子どもがネット依存に陥る危険性もはらんでいます。
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小学生のスマホ所持率
学校種が上がると、スマホ子ども専用の割合が高くなり、なんと小学生(10歳以上)の70.4%、中学生の 93.0%、高校生の99.3%が子ども専用と回答しています。
小学生でも約7割が自分専用のスマホをもっており、中学生となると、9割以上が自分専用とのことで驚きです。
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インターネットの利用内容
各年代の利用している内容は次のとおりです。
●高校生
動画を見る(95.8%)、音楽を聴く(93.2%)、検索する(91.0%)が上位。勉強をするは78.3%。
●中学生
動画を見る(94.1%)、ゲームをする(87.5%)、検索する(85.5%)が上位。勉強をするは73.1%。
●小学生(10歳以上)
動画を見る(90.5%)、ゲームをする(87.5%)が上位。勉強をするは67.3%。
このように、どの年代においても動画視聴がトップであり、娯楽として用いられる一方で、今の動画は面白く刺激的なものが多いため、スマホやタブレット等のデジタル機器を手放せなくなる可能性もあります。
デジタル機器使用のデメリット
短時間であれば勉強や検索など便利に使用できたり、動画視聴でイライラやストレスから回避できたりするでしょう。一方で、長時間になると次のようなデメリットが生じます。
①脳への影響
大人に比べて、子どもの脳は成長段階にあるので、デジタル機器の使用による悪影響を受けやすくなります。
スマホを使用すると、脳の知的中枢である前頭前野の活動が抑制されることがわかっています。前頭前野は、物事を計画・実行したり、コミュニケーションをとったり、衝動を抑えたりなど人間にとって大事な部位です。
②視力の低下
スマホは長い時間、同じ距離で見続けてしまいがちです。これによって目のピントを合わせる力が衰えたり、疲労が溜まったりしてしまいます。
視力については、「近くがぼやける」「目がかすむ」といった老眼の症状が、子どもにも生じているようです。
③姿勢の悪化
スマホをうつむいた姿勢で長時間使っていると、首がまっすぐに近い状態になってしまいます。これはストレートネックとよばれる症状で、重い頭をクッションなしで支えることになるため、頭痛や首こり、めまい、吐き気などのさまざまな症状を引き起こします。
④睡眠の質の低下
スマホ画面からは、太陽光に近い性質である高エネルギーの光「ブルーライト」が出ています。そのため、寝る前に浴びることで体内時計が狂い、なかなか寝つけなくなってしまいます。子どもにとって睡眠は心身の成長に欠かせないものですので、その質が低下することで、成長を阻害してしまいます。
ほどよい使用にするために
スマホ、タブレット、ゲームなどのデジタル機器は、いくら子ども専用のものだからといって、管理を子ども自身に任せるのは危険です。
高校生ならまだしも、小中学生にとっては難しいものでしょう。したがって、大人が管理することが重要となります。
次回はネットやSNSの危険性を子どもにどう伝えるかについてお伝えします。
最後までご覧いただきありがとうございます。
皆さんから、子育てにおいて、こんな場面での対応に困った、こんなときどうしたらよいかなど、日々の疑問を教えていただけると幸いです。
記事の内容の参考にさせていただきます。
よろしくお願いします。