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幸せとは「いま、ここ」を生きること―マインドフルネスと認知行動療法についての序章

プロポーズなどではよく、「私があなたを幸せにします」などと言う。ただ、その「私」が超能力者や神様ではないから、「あなた」を幸せにすることなどできない。私は「幸せにする」という言葉に違和感がある。なぜなら、幸せとは自分の心が感じるものであり、誰かに与えられるものではないからだ。

美味しいご飯を食べることは、しばしば人を幸せにする。ただ、美味しいご飯を食べたからといって、必ず全員が幸せを感じるわけではない。
お金がたくさんあることは、しばしば人を幸せにする。ただ、億万長者が全員幸せとは限らない。貧しい人の笑顔が億万長者のそれより輝いているということも、しばしばある。

幸せとは、砂上の楼閣なのかもしれない。

存在する、とも言い切れず、存在しないとも言い切れない。どこにある、とも言い切れず、どこにもない、とも言い切れない。

追い求めれば追い求めるほど、渇望すれば渇望するほど、幸せは遠ざかっていく。

幸せとは「足るを知る」ことだとよく言われる。

このような言葉がある。

Yesterday's the past, tomorrow's the future, but today is a gift. That's why it's called the present.
昨日はもう過去で、明日はまだ来ない。今日は贈り物だ。だから現在は「贈り物」と呼ばれるのだ。
- Bil Keane

英語で「現在」と「贈り物」はどちらもpresentという言葉を使うことに由来する言葉だ。

また、このような言葉もある。

If you are depressed you are living in the past.
If you are anxious you are living in the future.
If you are at peace you are living in the present.
過去を思うから人は落ち込む。未来を思うから人は不安になる。今日を思うとき、あなたは平和を得る。
- 老子

過去や未来について考えすぎないこと、そして現状に満足すること。これが幸せになる秘訣なのだと、過去からずっと語られてきた。

これはマインドフルネスなどにも生かされている考え方だ。言うのは簡単だが、実行するのは難しい。だが、これには練習が必要で、コツをつかめば案外うまくいく。

認知行動療法というものがある。

自動的に浮かぶ思考(自動思考)というものをまず知ることで、そのあとそれを修正するために動き出すということだ。セラピストなどの助けがなくても、ある程度は自分で行うことができる。

私は専門家ではないので、紹介だけにとどめておく。

1 0か100か思考
2 過度な一般化
3 心のフィルター
4 マイナス思考
5 論理の飛躍
6 拡大解釈、過小評価
7 感情的決めつけ
8 「…べき」と考える
9 レッテル貼り
10 個人化

詳しくはこちらのブログなどにある。まずはこの認知の歪みに気づくことからはじまる。そしてその認知の歪みにより、過去の出来事や未来への不安などに囚われ、現在を生きることができずにいるのだ。