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starRoの軌跡に学ぶSoundCloudコミュニティパワー

 ニューミドルマン・コミュニティのマンスリーイベント。僕らにとって旬なゲストスピーカーにお招きしてお話を伺うMusicTechRadarシリーズ。
今月のゲストは、starRoさんでした。予告の時に、starRoとの出会いについては書きましたのでこちらをどうぞ。

 リアルな話が伺えて有益だったと思います。
 僕が、驚いたのは、SoundCloud に音源をアップするまでのstarRoは全く無名だったとのお話です。そこでミュージシャン同士の繋がりができ、Sound Cloudの影響力とともに活動状況が広がっていったそうです。アップした楽曲が、長年作り続けていた90sスタイルのR&Bで、当時の音楽シーンのムーブメントと重なったという幸運にも恵まれたとのことで、まさに運は呼び寄せるものですね。もちろんリアルとの連携も大切で、ムーブメントの中心イベント&レーベルが「Soulection」がLA拠点であり、そこと契約したことでメジャーR&B/ダンス/POPシーンでポジションを築きました。LAに居延を持ったことはアドバンテージとなり、グラミー賞Rimix部門ノミネートにつながっていったようです。

 インターネットの時代は音楽シーンの核はデジタルサービスになっていることを改めて思い知りました。先日レビューを書いたドキュメンタリー映画「ONKIO HAUS」の時代には、シーンの核はレコーディングスタジオとライブハウスでした。ミュージシャン同士のつながり、媒介の場となり化学反応を呼んでいたのが、映画を観るとよくわかります。
 
 SoundCloudについて少し書きます。
 エンターテックエバンジェリスト的にざっくり言うと、経営的にハンドリングに失敗してブレイクし損ねたサービスです。ベルリンを本拠地にスウェーデンエンジニアによって始まったサービスはクリエイターに支持され、コミュティを創っていきました。ちなみに、Spotifyと同時に始まったので、Spotifyの創始者ダニエルエクはSoundCloudを意識していた様子が、伝記『Spotify』には記されています。
 ユーザー数やコンテンツ(楽曲)数は順調に伸びたのですが、マネタイズの方法で迷走しました。リスニングサービスとして、ユニバーサルなどのメジャーレーベルと契約して月額課金型の有料サービスを行いましたが、支持は得られませんでした。倒産や売却が噂されるようになり、創業経営者が求心力を失っていき、カルチャー的にも陰っていった印象があります。(もちろん、まだクリエイターにとってのブランドは残っていますけれどね)

 確認したら僕は、2016年の4月4日のメルマガで、有料サービスのニュースを紹介しつつこんなコメントを書いていました。

●SoundCloudの有料オプションが登場。「SoundCloud Go」は月額9.99ドルで再生可能なカタログは1億2500万曲!
 SoundCloud Goは、オフライン視聴、広告無しの視聴、そして制限無しで拡張された有料会員のみが視聴できる楽曲カタログを、月額9.99ドルで体験できます。

 遂に始まりました!クリエイターが自分の作品をアップロードするUGM的なサービスですから、リスナーへの課金は、違和感があります。ただ、音楽ファンから好感を持たれているブランドですし、見方を変えれば、通常の音楽ストリーミングサービスよりも、聞ける楽曲の幅が広く、数が多いということにもなります。 有料課金部分でも成功できるのか?動向に大注目です!!

と、違和感を感じつつポジティブに紹介してました。見事に裏目に出てしまいましたね。おそらく、課金を広くリスナーから取るのではなく、クリエイターも含んでSoundCloudに思い入れを持つユーザーから「お布施」的に課金するニコニコ動画型の有料コースにしたら答えは違ったことでしょう。
 ただ、ITスタートアップとしては成功にはたどり着けませんでしたが、新しいカルチャーや音楽家を世に送り出すことは大きく貢献していたことがstarRoの証言でわかりました。

 日本に目を向けると、ニコニコ動画からは米津玄師が生まれて、サブカルチャーの枠を超えて、ロックフェスのヘッドライナーも務めNHK紅白歌合戦にも出演しました。nanaはアマチュア支援的に裾野を広げているコミュニティですが、メジャーシーンに出てくるシンガーは出てくるのでしょうか?

 改めて思うのは、日本発、グローバルな視野でクリエイター支援のクールなサービスが出てきて欲しいなと言うことです。コミュニティからシーンがを生まれ、ムーブメントになり、カルチャーとなっていきます。日本の強みは多様性なので、大きく水を開けられてしまったK-POPに追いつくためには、音楽家が結びつくベースになり、化学反応を誘発するクリエイター・コミュニティが必要だと思います。起業家の決起を期待します。Studio ENTREとしても応援しますので、連絡下さい!

 starRoさんとの会話は本当に刺激的でした。話足りないので、年内に下北沢あたりで脇田と3人で飲みたいと思っています。(参加したい人は連絡下さい。密とか騒がしいので、SNSでは書きません。みんな自己責任で感染対策しながら生活しようねww)

 ニューミドルマンコミュ主催のイベントはpeatixをチェックして下さい!
 次回のゲストは、SWEET SOUL RECORDSの山内さんです。彼はNAO YOSHIOKAというアーティストを掲げて、グラミー賞R&B部門に挑戦しています。ビジネスレイヤーのプロデューサーで、本気で海外で勝負している数少ない日本人です。いつものように突っ込んだぶっちゃけ話をするつもりです。是非、ご参加下さい!

 来週は、ニューミドルマンでもう一本オンラインイベントがあります。ゲスト無しでテーマを掘り下げるextraシリーズで、「音楽制作におけるクオリティ」という難しいテーマに踏み込みます。インディペンデントのアーティスト、プロデューサーが「メジャークオリティ」という得体のしれないものについて考える良い機会になるはずです。


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山口哲一:エンターテック✕起業
モチベーションあがります(^_-)