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観葉植物と友達と

観葉植物を枯らした。
一週間程度に一回水をあげればいいだけなのに、何週間も忘れるということを何度か繰り返すうちに枝葉が茶色に染まってしまった。

大切にしようと思って家に迎えたのに。
観葉植物への申し訳なさと、一週間に一回の水やりさえも満足にできない自分への落胆とで項垂れてしまった。

そんな話を友達にすると、なんと彼女も観葉植物を枯らしたことがあるという。
仲間がいたとほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、枯らした原因を聞いて耳を疑った。
「水のやりすぎ」らしい。
彼女は一週間に一度水をあげればいいものをほぼ毎日水をあげていたらしい。その結果、根腐れを起こして枯らしたという。
自分が一週間に一度さえできなかったことを毎日できる人もいるのだという事実に驚愕しつつ、すごいなとも思った。(結果枯らしているからすごくはないけど)

お互いの枯らし方の違いに笑いながら、ふと彼女が「親との関係に似てるね?」と溢した。
「たしかに……」
私は放任の家庭で育ち寂しさを募らせた。一方で彼女は過干渉の家庭で育ち、健やかさを阻害された。
妙に納得してしまったのにそれ以上は言葉に詰まってしまい、また「たしかに……」と繰り返す。

他人からすれば、いい大人が観葉植物を枯らして、さらに枯らした原因を親のせいにするなんてどうしようもないと思われるかもしれない。私も「ふつう」ならそう思うだろう。
でも私たちは、親との関係が植物のように自分のなかに深く深く根を張って、意図しない至る所に芽を出すことを知っている。

「もう観葉植物買えないね」と笑いながら心の中で少し泣いた。

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