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[小説感想]この本を盗む者は 深緑野分

 「そんなたいそうなものじゃないよ、本は。ただ読んで、面白ければそれでいいんだ。つまらなくてもそれはそれで良い経験さ。自分が何を好み何を退屈だと感じるか知ることができるからね」

 (深緑野分『この本を盗む者は』p139、KADOKAWA)

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 あらすじは、本の街、読長町に暮らす本嫌いの少女、深冬本の呪い(ブックカース)によって本の物語に飲み込まれていく街を救うため、本の世界を冒険する。そして、本の世界で出会う謎の少女。彼女と冒険をしていくうちに深冬は大事なことを思い出す。

 さらに分かりやすく説明すると、本の呪い(ブックカース)の発動条件は三つある。

 一、御蔵館から本が盗まれると「本の呪い」が発動する。
 二、町も人も物語の世界に変化する。
 三、本泥棒を捕まえないと大変なことが起こってしまう


 読書嫌いな僕が小説を読むようになったのは、大学二年生の春頃だったと思う。暇潰しでブックオフに立ち寄り、普段は見ない小説コーナーに吸い寄せられるように歩いたら一冊の本に出会った。
 その本の名前は『かがみの狐城』だ。表紙が魅力的ですぐに手に取り購入した。そこから僕は小説を読むことにハマった。
 僕が小説を読むことを嫌いになったきっかけは、小学生の頃読書の時間や課題図書で本を読むことを他人に強制させられたからだと思う。

 だから冒頭に紹介した台詞に読んでいて共感したのだと思う。
 
 この作品を読んだ素直な感想は、面白いような退屈なようななんとも言えない微妙な作品でした。
 斬新な設定は読んでいてワクワクしたが、僕の想像力ではファンタジーな世界観に追いつくことができなかった。(数冊の小説の世界観に入り込んでは出ていくから、そのスピード感に頭が追いつかなかったのかもしれない)それが原因で主人公に対して感情移入することができなかった。
 しかし、物語の後半のほうではこれまでの伏線が回収されて面白さを感じました。それに心に残る台詞にも出会えたので、読んでよかったと思いました。

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やまりく
読んでいただきありがとうございました。