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捕まえたクワガタムシが死んだ

「たかが虫が一匹死んだ話でしょ?」って思ったやつ、

ブチ殺すからな


「西の魔女が死んだ的な?w」って思ったやつ、

頭と胸と腹で三等分して胸のところにお前の母親と父親の腕をくっつけてついでに塩酸をかけて殺す




わんわん泣いている。心の中では。表面上は泣いてないけどね。でも心では泣いている。それはもう。3リットルぐらいは泣いている。今の時点で。最終どうなるかは分からん。そりゃそう。未来のことは分かんないから。

未来のことは分かんないから。


捕まえてからたった一週間で天国へ旅立ってしまった。ろくな思い出もないまま、短い人生の最期を狭いケージの中で過ごさせてしまった。

いま「なんだよ一週間しか飼ってないのかよ」って思ったやつ、

マジで首をもぐからな。全員。思ったやつ全員もぐ。そこで立って待っとけよ。座るなよ。立って待っとけ。先着順でもぐからな。お前は174番だ。174番。一人2分でもぐ。174番のお前、立って待ってろよ。な。首をもぐから。な。




彼との馴れ初めを話そうと思う。

一週間前、私の虫捕り欲は最大限に達し、ついに近所の山に繰り出した。

そこは結構不気味な山で、というのも山中に神社があり、その神社が数年前の台風で荒れてしまったままほぼ放置されているものだから雰囲気があるのだ。

最初は夕方に入山した。

ふと足元を見ると、カブトムシのメスが落ちていた。幸先がいい。上機嫌で頂上まで登った。

この日捕れたのは結局この子だけ。女の子だけいても仕方ないので逃がした。心に、火がついた気がした。

次の日、朝早くに起きた。朝4時。日の出前だ。理由はもちろん、虫を捕るため。急いで支度をし、虫除けスプレーをシュッとしてから玄関を開けた。

山の頂上付近まで20分程度。頂上付近にいい木が沢山あることは事前のリサーチで分かっていたので、一目散に頂上を目指した。

そろり、と出来るだけ音を殺して森に入った。些細なことでも奴らは姿をくらませてしまうかもしれない。林道の左右を忙しなく確認して歩いていると、目の端に独特の光沢を見た気がした。

恐る恐る手を伸ばす。なにせこちとら森の中で虫捕りなんぞしたことのないシティボーイだ。ビクビクしながらも、確かに獲物の位置を捉え、そして、獲った。

この時の興奮は忘れられない。人間として一皮剥けたような、少し大人になった気がした。


いま「話長いな…」って思ったやつ、

お前の体内に流しそうめんのコースを張り巡らせて肛門から出てきたそうめんを踏みつけてぐちゃぐちゃにしてからそれを真空パックして宇宙に放出してスペースデブリにしてやる。お前を受動的スペースデブリ生産機械にしてやるからな。





本当に悲しい。姿を見て、それがすでに魂を失った容れ物になってしまったことを認めるのに時間がかかった。その目にもはや輝きはなく、脱力してしまっていた。

私は今、叔父を一人亡くしたくらいの悲しみを抱えている。きっと他人から見れば、虫一匹に抱く情念としてはあまりに過剰だと思うのだろう。しかし、しかしだ、現にこれほどの想いを抱えてしまった男が一人、ここにいるのだ。そのことを、どうしても誰かに伝えたくて、いや、本当は天国へ飛び立った彼に伝えたくて、こんな文章を書き殴ってしまった。無視してくれればいい。狂人の戯言と思って欲しい。

ただただ今は、この悲しみを感じていたい。




ここまで読んで知ったような顔で「かわいそうだね…」とか思ったやつ、


本当に殺害します。あの、さっきまでと違ってこれはマジのやつ。法に引っかかるやつ。これは。うん。殺害させていただきます。どうもこんにちは。あの、何個にしますか?何個がいい?耳。耳何個?5個にする?耳5個でいく?耳5個分の体積になるまでお前の体を圧縮することにする?そうしよっか。ちょうどだもんね。ちょうど5個だもんね。じゃあそうします。そうやってお前を殺害することにします。決めました。そうなりました。ありがとう。じゃあ2日にそうするからね。準備しといてね。2日だから。うん。こんにちは。ね。殺害します。





ありがとう


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